愚かなる独白

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ろくでなしの雑記

『王様達のヴァイキング』感想

漫画

 前々から読もうと思っていたのだが、最近、たまたま本屋に行った時に目に入ったから購入した漫画、『王様達のヴァイキング』。

 

王様達のヴァイキング(1) (ビッグコミックス)

王様達のヴァイキング(1) (ビッグコミックス)

 

 

 第18回文化庁芸術祭審査委員会推薦作品。「マンガ2015」第9位。

 

 天才ハッカーとエンジェル投資家がIT業界を舞台に「世界征服」を目指す、という話。

 

ハッカーを扱った作品というのは今までにも何度か見たことあるが、エンジェル投資家が登場する(メインで)作品はめずらしい。

 それに、ハッカーが登場する他の作品では、ハッカーは暗い部屋に篭って、パソコンのキーボードをカタカタと打ち、「いい子だ、ベイビー」とか言いながら、なにやらよくわからんことをしている描写がほとんどで、業界の人達から言わせると全く”リアルじゃない”。

 

(ちなみにハッキングが一番リアルな作品は映画『ソーシャルネットワーク』)

youtu.be

 

 

 だがこの作品はちゃんとキャラクターがコードを書く描写がある。

  専門用語も沢山出てくるし、相当こだわりを持って描いているのがわかる。

 作者のさだやすさんは綿密に取材をするらしい。

 

 恐らく、タイトルや説明を見ても、この作品がどんな内容なのか想像しずらいだろう。「世界征服する話」と言われてもなにがなんやら。

 

 簡単に言うと、コミュ症だが天才の主人公が、投資家の男と出会うことによって、そのハッキング技術を活かし色々な仕事を経験して、成長していく話だ。

 

 今の世の中はほとんどのことにIT技術が使われている。それは逆に言えば、世界中のクラッカーから狙われる可能性があるということでもある。そこで主人公は、そのハッキング(クラッキング)技術を利用して、見えない敵と戦うのだ。

 そしてそれはサイバー戦争であり、そこを制覇することによって「世界征服」をしたいということなのだろう。

 

 起業という、特異な経験をする者達が数多く登場する。

 起業家というのは一般とは違う価値観や考え方の人が多い。だが、そういう人達だからこそ、主人公の”変人”の部分よりも、持っている”技術”の方に注目し、交流することで主人公は人間的に成長するのだ。

 

 この漫画では、起業の楽しさやワクワク感だけでなく、その大変さや苦労もしっかりと描かれている。だからこそ深みがあって面白い。

 でもそんなことをテーマにすると重くなりがちなところを、軽い絵のタッチで緩和してくれているので非常に読みやすい。

 

 それに、ハッキングがメインのこの漫画。ハッキングなんてリアルに描くと本当に地味だ。それだけでなく、知識のない者からするとよくわからない。

 しかし、主人公を極端に”イッている”人物に描き、漫画だからこそできる誇張した表現によって、非常に臨場感溢れる描写に仕上がっている。

 さらにそれだけでなくこの漫画の上手いところは、たとえ読者が理解できなくても、あえて専門用語を沢山使うことによって、嘘っぽくなりがちな演出を抑えることに成功している。

 

 ただ一つ思うのが、いくら主人公がダメ人間と言っても結局は、人と見えている世界が違う天才であることには変わりないので、現実のダメ人間がこの主人公を見て「頑張ろう」という気持ちになれるかと言えばそんなことはないだろう。

 ある意味能力者同士のバトルを見ているような感覚になるかもしれない。それはそれで楽しい、いや、だからこそ人気が出たのかもしれない。

 

 とにかく、ITの知識がある人も、無い人も、一度読んでみて損はないだろう。今までの漫画と”違う”感じは確かにある。

 特に、エンジェル投資家の坂井というキャラクターの合理的な考え方が心地いい。

 

 

 

 

 坂井の発言が、たまにホリエモンと被る。

 モデルにしているのか、それともあの業界の人は皆ああなのか……。

  

 

ここで一話試し読みできます。 

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王様達のヴァイキング コミック 1-9巻セット (ビッグコミックス)

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  このホリエモン本もおもしろいよ。