子供には見せられない、暴力的なマジキチ漫画10選!
子供の頃から漫画を読んできたが、そのほとんどは少年漫画ではなく、青年漫画だった。
年上の従兄の家に行くと置いてある暴力的な漫画を読んで育ったわたくしが、独断と偏見で選ぶ『暴力漫画』10選。
シグルイ
江戸時代初頭、天下の法に反して駿河城内で挙行された真剣御前試合で対峙したのは、片腕の若武者と盲目の天才剣士だった!! 残酷無惨時代劇!!
アニメ化もされ、WOWOWスクランブル枠で放送された人気作品。
筋肉や体の筋などを強調して描かれているので、『刃牙』の板垣恵介の絵柄と似ているかもしれない。戦闘シーンの異常さも刃牙に通ずるものが……。
時代劇にエログロの要素を入れて、残虐的な描写も多く、マジキチキャラも登場する、完全に人を選ぶ漫画だろう。
しかしハマる人はどハマりするはず。
フリージア
殺人等の凶悪犯罪の被害者遺族が一定のルールに基づいて加害者に復讐する敵討ち法が成立した時代を舞台としたバイオレンスアクション。被害者遺族に依頼されたプロの執行代理人と、対象者およびそれを守る警護人達による殺戮合戦を軸に、平静ではいられなくなっていく執行代理人の歪んだ日常や、極限状態を生き延びる対象者達とその周辺の人々の葛藤などの人間ドラマが展開される。
出ました、フリージア。あらゆる漫画の中でトップに入るほど好きな漫画だ。
所謂ディストピア。舞台である日本はもうほとんど終わっている。誰もがこんな国には住みたくないと思うだろう。
見所は何と言っても、主人公の叶ヒロシ。出てくるキャラは全員イカれているが、彼はもうずば抜けてイカれている。「他者と共感できない」「自分の内側に閉じこもる」「一人でぺらぺらと喋っている」など、完璧な〝電波〟である。そんな主人公は、初めは気持ち悪いと思うが、段々可愛く見えてくるという不思議。
絵は上手いのだが、線が荒く雑な描き方なので、これも人を選ぶかもしれない。
ヒリヒリとざらつく独特のタッチで描かれるマジキチの世界を味わいたい人は是非。
女子攻兵
新東京都市。そこでは異常な兵器使った異常な戦争が行われていた。兵器の名は“女子攻兵”。女子高生型巨大ロボである。女子攻兵の登場は、今までの戦争の形を変えてしまった!主人公・タキガワ中尉率いる第13独立女子攻兵猟隊、通称“ハイエナ部隊”は制御不能となった女子攻兵を始末する殺し屋部隊。今回もいつもと変わらない簡単な任務のはずだった…しかし、彼らの前に現れたターゲットは想像を超える最悪の化け物だった!
フリージアと同じ作者が描いている漫画。絵柄はフリージアの頃よりもポップなのだが、ぶっ飛び具合で言うと、こちらの方がぶっ飛んでるかも。
おっさんが、見た目が女子高生の巨大ロボに乗って訳のわからない化け物と戦うのだが、もうその光景がぶっ飛びすぎててもはやギャグ。可愛い女子攻兵がぶっ殺される描写もヤバすぎて楽しい。
そして何よりぶっ飛んでいるのがその設定。
女子攻兵に長く乗っていると、精神汚染という現象に侵され、おっさん達の言動が段々女子高生みたいなっていく。これは斬新。狂気を感じる。
ミリオタの作者松本次郎が描くぶっ飛び戦争漫画。そのイカれた世界を味わうがいい。
ベアゲルター
狂気か? 復讐か? 3匹の獣(めす)が牙を剥き合う…おんなの修羅場! ドイツ、中国、そして日本へ! 中国の売春街で起きた謎の殺人…それはやがて、日本の某・広域暴力団内部での現金盗難事件と結びつき、とある辺境の孤島にて、予期せぬ火花となり炸裂する! ネオ時代劇『無限の住人』大団円の余韻に浸る間もなく、沙村広明が渾身で描く、背徳のエンタテインメント。
あの『無限の住人』の作者、沙村広明の描き出す、エロとバイオレンスの融合。
沙村氏の漫画はどこか「見てはいけない物を見ている」といったような背徳感がある。それがたまらない。この作品にも、R18になってもいいような描写もあり、沙村広明の一連の作品が好きな人は絶対に楽しめる。
圧倒的な画力から生み出されるアクションも素晴らしく臨場感たっぷりで、登場キャラの武器や衣装も格好良くて、厨二仕様となっている。
沙村広明の描く女の子がまた可愛いのなんの…。巷で流行りの萌え絵に見られる奇形児ではなく、写実的に描かれたリアルな女だ。男はそれに萌えるべし!
多分著者は貧乳が好きなのだろう。
殺し屋1
舞台は歌舞伎町の一画にある13階建てマンション。入居者の8割方が暴力団関係者で占められている別世界で、「ヤクザマンション」の異名を誇るホットスポット。
このカオスの箱庭にて己の誇大妄想に基づいて行動する「ジジィ」率いる歌舞伎町ハグレ者グループと、垣原率いる暴力団「安生組」の酸鼻きわまる攻防戦が繰り広げられていた。
やがてジジィの切り札イチと垣原は運命の邂逅を遂げるが・・・・・。
言わずと知れた有名漫画。この手のジャンルの中じゃトップレベルで面白いかも。
確かにグロシーンは多いし、変態描写だらけだが、ストーリー展開が半端なく高クオリティ。絵が上手くて丁寧で、非常に読みやすい。
この作品の特徴は、読んでいて「痛い」こと。読者に対して痛さがモロに伝わってくるような描写や、精神的な苦痛を余すことなく描いている。作者はそこには特にこだわっている。何故ならこの漫画はSM漫画だからだ。
究極のサディストである殺し屋イチと、究極のマゾヒストであるヤクザの垣原。この二人が戦うとどうなってしまうのか、という変態であり最高の漫画だ。主人公が人を殺して勃起している漫画を僕は初めて読んだ。
他の漫画は、グロが苦手だという人には進めないが、これはグロが苦手な人にもすすめたい。純粋にバトル漫画として面白いから。
ザ・ワールド・イズ・マイン
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (1)巻 (ビームコミックス)
- 作者: 新井英樹
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2006/08/31
- メディア: コミック
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本能のままに暴力を振るい続ける、狂気じみた謎の男 モン。そのモンに憧れ、破壊行動に協力する爆弾魔 トシ。旅を続けながら二人は爆破テロを繰り返す。時を同じくして、巨大な熊のような謎の怪獣「ヒグマドン」が突如日本に出現、圧倒的な力で人々を殺戮していく…。多くのアーティストやトップ・クリエイターから絶賛を浴びる現代最大最凶のバイオレンス巨編が、大幅な加筆修正を加えた「真説」として新生!
僕の大のお気に入り作品。同時期に連載された『殺し屋1』とともにカルト的な人気を持つ異色の漫画である。
主人公のモンちゃんは法律や道徳や倫理など全く気にせずバンバンと人殺したり、強姦したり、盗んだりする。とにかく暴力的で不条理でキツイ描写が多い。
ただこの作品を語るには、すごく長文になるし色々な準備も必要なのでここでは多くは書かない。「暴力によって哲学する」そんな漫画。
シマウマ
俺は知らなかった……この世の中には奴隷や家畜……それ以下の世界がある事を……始まりは、一通のメールの着信だった。そこに添付されていたのは、原型の崩れた仲間の顔と抜き取られた一対のアバラ骨……。小遣い稼ぎの美人局でヤクザを引っ掛けてしまった事から、タツオの日常は転がるように暗闇へと堕ちていく! 〔シマウマ〕とは、いったい何者なのか!?
「男は殴って女は犯す」暴力に暴力、暴力だらけのこの漫画。
簡単に言うと、お仕事漫画。ただそのお仕事が特殊。回収屋という仕事なのだが、世間の常識じゃどうにもならない不良品(こころ)を回収して昇華させるというわけのわからん仕事。
拷問のアイデアで見せていく漫画だが、それは読者に絶望感を与える為だったり、興味を持ってもらう為の暴力で、エスカレートしすぎで現実感がなく、痛みはそこまで感じないかも。だが気の弱い人は読まないほうがいいかもね。
軍鶏
自分の両親を刺殺した優等生の少年・成嶋亮が少年院に入り、そこで出会った空手の達人・黒川健児に師事して「生き残るための空手」を身につけ出所してからは格闘界に入り、無軌道なバトルを繰り広げてゆく。
これも有名な作品だから知っている人も多いだろう。
格闘技漫画なのだが、普通の競技漫画にある、自己修養やスポーツマンシップなどの近代体育的な価値観ではなく、格闘の負の側面である暴力の手段としての要素や、日本社会の闇、人間心理の暗黒面を大きく取り上げているのが特徴。
絵柄や演出に関しても、他の漫画にあるような大げさな描写はなく、現実的な範囲内で展開していく。それ故に、より痛々しさや怖さみたいなものが増している。
格闘技に興味のある人なら一度は読んでおいた方がいいだろう。
ウシジマくん
丑嶋馨が経営する闇金融『カウカウファイナンス』は、10日5割の超暴利。物語は、そんな『カウカウファイナンス』に訪れる客と、その関係者の様々な人間模様、そして社会の闇を描いたものである。
これはもう紹介するまでもないだろうが、好きな作品なのでぶっこんだ。
初めてこの漫画を読んだときは本当に酷いと思った。何故わざわざこんな鬱になりそうな漫画を読まなければならないのかと。だが読んでいく内に癖になる。
もちろん暴力も描かれるが、暴力的な怖さよりも、お金や人間自体の怖さが際立つ。
絵があまり上手くないが、感情の読めないキャラの顔は逆に恐怖心を煽るかもしれない。
スマグラー
役者志望のフリーターの砧涼介は、流されるままの自堕落な生活の果てに借金を作らされ、裏社会の非合法な「運び屋」の仕事をせざるを得なくなった。砧は、上司のジョーや同僚にあたるジジイと共に、中国マフィアが抗争の果てに惨殺した暴力団の組長と護衛の死体を運ぶ仕事になんとか成功する。しかし砧の「運び屋」としての次の仕事は、依頼人が以前の依頼で死体を運んだ組長がかつて率いていた暴力団。仕事の内容は、実行犯である殺し屋「背骨」を彼らの元へ運ぶというものだった。
『闇金ウシジマくん』の作者である真鍋昌平が描いた一巻完結の漫画。映画化もされたから知っている人も多いかもしれない。同じく好きな作品なのでぶっこんだ。
真鍋昌平の描く漫画には、妙な生々しさがある。ウシジマくんでもそうだが、作者は綿密に取材を重ねて描くらしいので、社会の底辺の雰囲気が気持ち悪いほどリアル。
怖いもの見たさで読んでみる価値はある作品だ。
最後に
巷では、暴力的な描写を規制しようなどという動きも目立つが、創作というのは「間違っていることでしか示せないことを描けるから価値がある」のであって、それを規制するのは、創作という物の価値自体を下げることに他ならない。
それに暴力などの恐ろしい事は現実社会にも蔓延しているのに、それを無いものとして扱うのは寧ろ危険な思想である。
大人向けの作品でエロやグロを規制するのは、大人を子供扱いしているようなもので、子供扱いされた大人は、みんなバカになっていく。すると、「自分に合うものしか受け入れない」「自分の見たくないものは見ない」「自分の好きなものしか認めない」という幼児的な大人を育てることになってしまうし、現にそうなってきている。
だからどんな時代にだって、エログロという野蛮な物は、表現の世界においては必要なのだ。
「現実では見たくない、でも現実には厳然とある」そんなものを見せることが表現の価値でもあるのだ。
人気のある優しい漫画達
暴力的な漫画ばっかり読んで疲れた心を癒してもらいましょう。