愚かなる独白

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ろくでなしの雑記

映画『ホワイトアウト』を観たのだが…

ホワイトアウト [DVD]

題名:ホワイトアウト

上映時間:129分

製作国:日本

初公開年月:2000/08/19

ジャンル:アクション/サスペンス

監督:若松節朗

製作:坂上直行、宮内正喜、岸田卓郎、高井英幸

企画:塩原徹、河村雄太郎、島谷能成、永田芳男

プロデューサー:小滝祥平、遠谷信幸、石原隆、臼井裕詞

アソシエイトプロデューサー:野口照彦、千野毅彦、佐倉寛二郎、前原良行

原作:真保裕一ホワイトアウト』(新潮社)

脚本:真保裕一、長谷川康夫、飯田健三郎

撮影:山本英夫

美術:小川富美夫

音楽:住友紀人ケン・イシイ

ビジュアルエフェクト:松本肇

証明:本橋義一

録音:小野寺修

出演:織田裕二松嶋菜々子佐藤浩市石黒賢吹越満、他

【解説】

辺り一面、雪に覆われた12月。日本最大の貯水量を誇る新潟県奥遠和ダムの作業員・富樫は、同僚の親友・吉岡と共に向かった遭難者の救出の途中、吹雪と霧で作り出された視界0の世界「ホワイトアウト」に遭遇し、結果、吉岡を死なせてしまう。それから2ヵ月後。奥遠和ダムで吉岡の婚約者・千晶の訪問を待っていた富樫は、突然、ダムを襲ってきたテロリスト・グループによるダム・ジャック事件に巻き込まれる。ダムの爆破をネタに政府に50億円の要求を突きつけるテロリストたち。辛うじて最初の難を逃れた富樫は、仲間と下流に住む住民を守るため単身、テロリストに闘いを挑む。

<以上allcinemaより>

 

 

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

いやぁ、観ましたよ『ホワイトアウト』。

もう16年も前の映画ですけど、たまたまテレビでやっていたのがHDDに録画されてまして、暇だったのでぼーっと観ました。

 

感想ははっきり言って、つまらなかったです。 

 

観る前からこの映画の存在自体は知っていました。でもどんな話なのか、何が起こるのかといった、内容に関する情報は皆無に等しかったので、初めテロリストに占拠される話とわかった時、ダムという設定は良いなと思いました。

ダム自体を武器にして、脅しの手段としてしまうのは、確かに日本でこの手の話をやるにはいいのでしょう。

でもそれだけです。正直他に良いと思った部分はありませんでしたね。

テロリストに占拠されて、主人公が否応なく巻き込まれていき、嫌がりながらもそれに立ち向かうという点で『ダイハード』をやろうとしているというのはわかるんですが、うーん……。

 

初めに主人公織田裕二とその相方である石黒賢が、雪山で遭難者が出たということで救助に向かうんですが、そこで石黒は足を怪我してしまう。どうしよもないので織田だけ先に戻り、救助を呼んで助けに戻る。だがホワイトアウトによって織田は戻れなくなってしまう。

 

この辺がよくわかりませんでした。

 

織田が、激しく吹雪が吹き荒れる雪山に立ち尽くして、観てる側は「あ、織田までピンチだ」と思うわけですが、次の瞬間にはもう織田は元いた所に帰ってるんですよ。そして他の救助隊が相方の石黒の死体を運んできて、織田が泣く。

これわかりにくくないっすか?(威圧

 

恐らく、織田は雪山で頑張って救助を呼びに戻ったんでしょう。だけど中々石黒を発見できなくて、見つけた時にはもう死んでいた。ということだと思います。

だとすると、この織田のキャラクターは、初めから最後まで一貫しているキャラということになります。

頑張って仲間のために救助を呼びに戻って、頑張って人質のために助けに戻って、というように、成長しない、いや成長しきっているキャラなわけです。

そして作中で何も変わらない成長しきっている織田の代わりに、誰に成長する役割を担わせているかというと、それは松嶋菜々子なわけです。

松嶋菜々子石黒賢の婚約者で、「織田は石黒を見殺しにしたんだ」と思っているキャラです。つまり織田のことを恨んでいるのです。

だけど、織田の頑張りを見て、「あ、この人は逃げたわけじゃなかったんだ」と気づく。そういう部分に作り手はドラマを作ろうとしているのでしょう。

それはわかります。それはわかりますが、でもそうしてしまうとおかしな部分が出てきます。

 

後の展開で、一度織田はダムから脱出するけどその後自ら進んで危険な場所に戻る展開があります。

大事なのが戻る動機です。これがはっきりしないと、ご都合主義になってしまいます。

だけど、本作ではここの動機付けがありません。

一度ダムから出たのに、その後また戻る時の動機は一体なんですか?主人公は正義感が強いからってこと?

普通あんなただの一般人が、銃を持ったテロリストがいる場所に戻るわけないだろ!

しかも散々動き回ってヘトヘトだし、自分の手で人を殺して精神的にも疲れ切っているのに 。

主人公が戻るという決断をするにはそれなりの説得力のある動機付けが絶対に必要なんですよ。正義感とかそんなものでは説明にならないんです。

 

だったら、「序盤の雪山で織田がビビって戻れなかった、仲間を見殺しにした」てことにすれば、一度逃げてしまった罪悪感を打ち消すように、無謀な行動に出てしまったという説明になるんですよね。いや仮に見殺しにしなくても、主人公自身は自分のせいだと思いつめていることにした方がいいと思います。

もちろんテロリストを倒してみんなを救ったからといって、仲間を見殺しにしてしまった罪は消えることはないけど、「もう逃げたくない」という動機付けにはなりますよね。

本当は、その見殺しにしたのは何年も前の過去の話で主人公のトラウマになっている、てことにするのが一番いいかな。

そして見殺しにしたとなれば観客の中には主人公は最低な奴だと思って入り込めない場合もあるかもしれないので、吹雪が凄すぎて戻るのを周りに止められた、とか、今戻ったら全滅してしまう恐れがあるからプロとして合理的な判断を下した。とかにすればまだ「まぁ…しょうがないよね……」となると思います。

 

まあそれはいいとして、

最後にテロリストを倒して解決するけど、その時松嶋菜々子に向かってダムの職員だったか警察だったか忘れましたけど、おっさんが「こいつは間に合ったんだ」(織田が石黒を助けに戻るのに、時間がかかったけど最終的には間に合った。だから逃げてないんだ。という意味)的なことを言いますけど、

いやいや間に合ってないから!死んでるから!

作り手としては、何か「良い事」を言いたかったのかもしれませんが、それとこれは違うだろうと。

仲間を助けに戻れなかった件と、一度脱出したダムにテロリストを倒すために戻った件は全く別の話です。そこを混同しないでください。

って松島、テメェも納得してんじゃねぇよ!

 

この作品。まあこの作品に限らず邦画にはよくありがちな傾向ですけど、「良い事」を言おうとして失敗しています。

 

「良い事」というか「良さげな事」を言わなければ良くなる余地はあると思うんですよ。

石黒賢松嶋菜々子などのキャラクターは、作り手が「良い事」を言う為の物なので、これは全部排除できますよね。申し訳ないですけど、石黒賢松嶋菜々子もいらないということです。

 

石黒賢松嶋菜々子もいらない。 ということはつまり、もう根本的に無理があるということです。

二人がいないとこの映画の大部分は変わってしまう。でもこの二人を絡めると、ダメになる。

 

 

 

僕が考えましたよ。この映画を良くする為の方法を。

 

序盤の石黒賢が死ぬ展開をやめて、織田裕二がいかに優秀な人物かを見せるシーンに変えればいいと思います。

つまりエンターテイメントに振り切るということです。

初めに派手な格好良いシーンを用意して、客のテンションを上げる。そしてテロリストが登場した所で客は「よし、今から織田対テロリストのバトルが見れるんだな」とワクワクしてノリノリで観れるわけです。

 

でも待ってください。そうするにしても、織田の戦う動機がないと客ものれないですよね。

任してください、良い案があります。ヒロインを松島はやめて、織田が恋しているダムの職員ってことにしましょう。もう可愛すぎるくらい可愛い人を起用しましょう。松嶋菜々子のような美人系じゃなくて、愛嬌のある可愛い、尚且つ美人でもある女優。その人が人質として捕らわれている。だから織田は戦うし、客も「彼女を助けねば!」となるのです!

 

そして素人の織田がテロリストを倒しちゃうのは不自然なので、元SATの隊員で不祥事を起こしてクビになったやんちゃな男ってキャラにしましょう。

当然不祥事を起こすようなやんちゃな男ですから、その女性職員にはあまり良く思われていません。片思いです。くぅ〜(>_<)

 

そうすると話はすごーく単純な話になります。

捕らわれた愛する人を救うため、めちゃつよの男が敵を殺しまくる話。

うひょー、めちゃくちゃおもしろそう。

 

客としてはそれくらい振り切ってもらった方が楽しめそうですけどね。

「完璧な計画だと思っていたテロリスト達。だが占拠した先にはとんでもない男がいた」

この響きがもう燃えるじゃん。

 

で、ここで大事なのが主人公は嫌々戦うって所ね。

そこはジョンマクレーンイズムですよ。「なんで俺がこんな目に…」ってね。

その「なんで俺がこんな目に」というノリ気じゃない感じも、主人公が不祥事を起こしてクビになるようなふざけた男であればより説得力の出る部分ですし。

そして最後は彼女を救って、恋が成就しかけた所でめでたしめでたし。

 

これで完璧っしょ。

 

ホワイトアウト (新潮文庫)

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