愚かなる独白

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ろくでなしの雑記

ナルトに全く共感できないのだが…

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少年ジャンプに1999年から2014年まで連載されていた漫画『NARUTO

2億部以上も売れている超人気漫画で、もちろん僕も読んだことがある。しかし、初めは楽しんで読んでいたものの、そのうち漫画に違和感を覚えるようになった。

NARUTO』の作品のテーマは簡単に言うと「おちこぼれが努力で自分の道を切り開いていく」というものだ。

おちこぼれで差別されていたナルトが頑張る姿を見ていて、勇気をもらった読者も多いことだろう。これは少年漫画として非常に熱くなれる良いテーマだ。

しかし、描かれていくうちに実はナルトはおちこぼれではなく、才能の塊だということが明かされていく。

 

九尾が封印されているせいでみんなから差別を受けていたナルトだが、ナルトが強いのも結局九尾のチャクラのおかげだ。作者はそこでバランスを取るため、ナルトはおバカでいたずらっ子でサスケにライバル心剥き出しの三枚目として描かれている。そして九尾のチャクラを少し利用しつつも、自分なりの戦い方で勝利を収めていく。だから初期の頃はおもしろかったし、共感もできた。

だが連載が進むにつれて、後から後から「実は四代目火影の息子でした」とか「うずまき一族でした」とかの設定を出してきた。しかもそのうずまき一族のうずまきミトは初代火影の妻で、千手一族とは遠い血縁関係にあったり。

後から家系図を見返してみると、結局ナルトはエリート家系の天才だったという状態になってしまっている。これは作者からの「結局成功するのは名家の天才だけだよ」「主人公が強いのは血統のおかげだよ」というメッセージか?

そもそもメインキャラは全員何かしらの一族で、エリートばかりである。そう考えるとやはりロックリーが一番主人公らしいキャラだなと思う。

 

共感できない部分はそれだけじゃない。

ナルトは誰とでもすぐ仲良くなるし、グレている奴らもナルトと触れ合うことですぐ更生する。

問題はここだ。ナルトのポジティブさや道徳的な所が、読んでいてウザいだけで全く感動しない。だからそのナルトに影響されて心を開くキャラが不自然に見える。

サスケに対して「お前のことを考えると俺の心が痛てぇんだ」とか言われても、「キモッ」と思うだけで、それでサスケが驚いた顔をして「俺の負けだ」とか言っても納得できない。

教育物の作品に出てくるような良い子ちゃんばかりで共感できないのだ。現実にはもっとどうしようもない悪人はいるし、どれだけ優しくしても歪んでいる奴は心を開かないよ。

 

あとナルトが火影になるのもどうかと思う。

確かにナルトは戦闘においては最強だし、数々の修羅場をくぐり抜けてきているから頼りにはなる。だが火影は里のトップだ。もっと政治力とかそういうものが必要なのでは?と思う。ナルトのような強くて優しいだけの男が里のトップになれてしまう。その辺もこの作品の甘いところだ。

 

「天才」という言葉を聞けば、漫画で『スラムダンク』を思い浮かべる方も多いだろう。あれも主人公が天才じゃないかと思うかもしれないが、あれは非常に上手いバランスで描かれている。

桜木花道は身体能力は高いが、彼が上達したのは身体能力のおかげだけではない。スポーツをやったことがある人ならわかると思うが、彼はいつもイメージトレーニングをしているし、自分なりに考えて「ああすればいいんじゃないか」「こうしてみたら上手くいくかも」と、頭を使いながらプレーしている。常にトライアンドエラーを繰り返しているのだ。そういう部分で説得力があるし、上達が早いといってもミスばかりするし、やはり安定感がない。そして最後の山王戦で、桜木はリバウンドの力を発揮し大活躍するが、ベテランの川田兄にマークを付かれると完全に抑え込まれていた。それに反則技を使うこともあった。そして何より重要なのが、桜木の人格だ。桜木はよく自分が大活躍している妄想をする。これが大きく共感を呼ぶポイントだろう。

このように恵まれた体格と身体能力を誇る桜木だが、その分納得しやすいようにバランスをとっているのだ。

スラムダンク (1) (ジャンプ・コミックス)

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まあとにかく『NARUTO』は、絵は上手いしおもしろいエピソードなどもあるが、全体を通してみたとき共感できない部分が多すぎて、読んでいてどうでもよくなってくる。キャラクター達を無理やりひっつけて結婚させるのも意図がよくわからないし、なんでもかんでも上手くいく緊張感のない作品になってしまった。初期の頃は独特の気味の悪さもあって「忍びの世界は闇が深くて怖そうだ」という不安もあったのに、蓋を開いてみると甘々の世界でしたという印象。

 

おちこぼれが成り上がっていく話であれば僕は断然、映画『スカーフェイス』をおすすめする。

スカーフェイス [Blu-ray]

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 あとは『ソーシャルネットワーク』も良いかも。 

 

 最近の少年漫画ってこういうのばっかですよね。確かワンピースもそうだったな。ゆとり教育よりもこっちの方が問題なのでは?