愚かなる独白

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愚かなる独白

ろくでなしの雑記

映画化もされた伊坂幸太郎の『グラスホッパー』

グラスホッパー (角川文庫)

 

  

一応、前に紹介した『マリアビートル』の前作。

utakahiro.hatenablog.com


この『グラスホッパー』も、殺し屋がたくさん出てくる。
妻の復讐を誓う「鈴木」、自殺させるのが専門の「鯨」、ナイフ使いの「蝉」、と三人の視点で物語が進行する群像劇だ。

もちろん群像劇なので、初めはバラバラのストーリーだったのが徐々につながっていく。だが、わりと単純なストーリーなので誰でも読めるだろう。
文体は癖がなく、読みやすい。
アクションの描写も鋭くて明快。視覚的にイメージもしやすく、小説を読みなれていない人にもお勧めしたいくらいだ。僕はそう思った。

だが、本作のように場面が頻繁に切り替わるような作品は、頭の悪い人にはストーリーがよくわからないらしい。本作の続きにあたる『マリアビートル』は、舞台が一貫して新幹線の中なので、限定的な制約はあるものの、馬鹿にもわかりやすく、一本筋が通ったような出来栄えになっていた。

そして『グラスホッパー』は、三人のメインの登場人物が、それぞれ全く違う立場だが、「押し屋」と呼ばれる一人の男を追いかけるストーリーだ。そしてそこにミステリー的な要素やサスペンスが幾重にも重なり読者を惹きつけるのだ。
だが、立場や状況が全く違う男たちの視点がコロコロ変わり、視点が変わると場面も変わるので理解が難しいのかもしれない。

後、何と言ってもラストが中々スッキリし辛い終わり方だからということもあるだろう。
この『グラスホッパー』には実は、もう一つの解があって、そちらの解を元に考えると辻褄が合うのだ。

まあとにかく、小説全体としてはスピード感があり、おそらく一気に読んでしまうだろう。個人的には『マリアビートル』の方が好きだが、読んで損はないと思う。

グラスホッパー (角川文庫)

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グラスホッパー スタンダード・エディション [Blu-ray]

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マリアビートル (角川文庫)

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もう一つの解のヒントは「幻覚」