愚かなる独白

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

愚かなる独白

ろくでなしの雑記

映画『マイボディガード』レビュー

マイ・ボディガード 通常版 [DVD]

 

政情の不安定なメキシコでは、誘拐は立派なビジネスとして成立していた。裕福な家族はそんな不法ビジネスのターゲットにされており、ボディガードを雇うことがメキシコでは常識であり誘拐保険に加入するための条件だった。会社を経営しているサミュエル・ラモスは誘拐保険更新のためにその場しのぎで新しいボディガードを雇わなければならなかった。
雇われることになったのは、かつて米軍の対テロ暗殺部隊に所属していたが、現在はアルコール中毒で給料が安かったジョン・W・クリーシー。クリーシーの友人レイバーンは、アルコール中毒だった彼のためにサミュエル・ラモスの9歳の娘ピタのボディガードの仕事を紹介した。
そんなある日、ピアノ教室へ通っているピタの帰りを待っていたクリーシーの前に不審な車が通りかかる。
Wikipedia

 

 

70点(この点数は個人的な数値であり客観的な採点ではありません)

 

※ネタバレあり

 

いわゆる「なめてた相手が実は殺人マシーンでした」系映画だ。
喧嘩売った相手が殺人マシーンだったり、喧嘩売った相手の友達が殺人マシーンだったり、とにかく調子に乗って関わったものの殺人マシーンすぎてマジヤバイ(←悪役視点)、というお話。

同じジャンルだと『96時間』『アジョシ』などがあり、

 

アジョシ スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

アジョシ スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

 

 同じデンゼル・ワシントン主演だと『イコライザー』などもそうだ。


この手のジャンルは、簡単に言ってしまうとスカッとすることが目的である。
実は殺人のプロである主人公に、極悪非道の悪党が舐めた態度をとっているのを、観客は「なめてるとヤバイよ〜」とニヤニヤしながら見るのだ。
そしていざ主人公にスイッチが入るともうあっという間。次々と敵は殺される。
「お、お前…何なんだ……」と死の間際に驚く敵の顔を見て、我々観客は溜飲を下げる。そんな素晴らしいジャンルだ。

この『マイボディガード』も殺人マシーンっぷりは凄かった。
デンゼル・ワシントンは本当にこういう役が似合う。

肝心の映画の中身だが、
前半は主人公クリーシーと警護対象のピタとの友情を写す。
ここは大事な部分である。後に決して正当化されることのない殺戮を繰り返すわけだから、ここで観客にしっかりと感情移入させないと成立しない。敵が気の毒になってしまってはいけないのだ。
その意味でいうと、この映画はそこはクリアしている。
このままヒューマンドラマとして終わるのではないかと思うほどしっかり丁寧にピタとの日常を描写していた。

拉致される前の不穏な空気感も中々良かったと思う。
「あれ? なんか様子が……。あれ? あれ? あぁぁぁぁ!!」というように、拉致されるのはわかっていてもドキドキできる。

そして主人公側はピタが殺されたと思い込み、クリーシーは復讐に乗り出すのだが、肝心の復讐の場面は見事。
徹底的に容赦なくいたぶるのが素敵だし、デンゼル・ワシントンの手慣れた演技で主人公クリーシーが本当に殺人のプロなんだと説得力を持って見れた。この手のジャンルに良く出る役者陣の中ではデンゼルが一番怖いかもしれない(『イコライザー』の時もめっちゃ怖かったゾ)。

だが残念なこともあって、それは暴力描写がちょっとしょぼい。
指を一本一本切っていくのは良かった(それでももうちょっとじっくりとやってほしかったが…)。だがケツに爆弾を仕込む件だが、あのシーンでは結局火を吹いてただ爆発しただけ。せっかくケツに入れているのだから肉片が飛び散るとかまでやってほしかった。

あと、ピタが実は生きていたという展開はどうかと思う。
原作では主人公にとってピタは自分に新たな命を吹き込んでくれた大切な存在であり、それを奪われたから暴走する、という強い動機にもなってるし悲しい話なのに、生きていたら途中で殺しまくったことの意味が少し薄れてしまうような気がした。
まぁ現実的に考えると、誘拐をビジネスにしてるような悪党は少しでも減ったほうがいいということもあるから殺すことそのものは別にいいのだが、主人公の燃えたぎっていた感情がちょっと肩透かしを食ったような感じだ。

殺された証拠もないのにみんな諦めているのは何故だ?
それに犯人は「俺はビジネスマンだ。商品を殺すようなことはしない」みたいなことを言っていたが、じゃあ殺す宣言をした後に何故何も連絡してこなかったのか。ピタを生かして一体何に使うつもりだったのかが説明がないからわからない。

あともう一つあって、映像がウザいこと。
確かにスタイリッシュでカッコよさげではあるが、大した演出効果もない上にテンポが悪くなってる。おかげで2時間26分という長尺になってしまっている。
前半の主人公が自殺したがっている部分ではこういうゆったりしたアート志向の映像も良いが、後半復讐に燃える展開になっても同じような演出が繰り返されるから、いい加減飽きてくる。
(まぁこれは個人の好みの問題かもしれないから置いておこう)

それでも僕は基本的にこの映画が好きだ。
なぜならこういったジャンルの映画が大好きだから。
その中でもこの『マイボディガード』はカッコイイ台詞が多い。

クリーシーの友達がクリーシーのことを「死の芸術家だ」と例えたのもカッコイイし、奥さんがクリーシーに「全員殺して」とお願いするシーンもカッコイイ。
極め付けは「復讐は冷たいほどうまい食事だ」というヨクワカラナイ台詞がカッコイイ。
「許すかどうかは神が決める。神に会わすのが俺の仕事だ」という台詞もカッコよかったぜ。

最後にはクリーシーは死んでしまうけど、ピタは帰ってくるので後味は良い方だと思う。
気に入った人は是非原作も読んでみてほしい。
『燃える男』がヒットしてその後もクリーシーが活躍するシリーズとして続いている。

 

燃える男 (集英社文庫)

燃える男 (集英社文庫)

 

 

パーフェクト・キル (新潮文庫)

パーフェクト・キル (新潮文庫)

 

 

マイ・ボディガード(Blu-ray Disc)

マイ・ボディガード(Blu-ray Disc)

 

 

 ダコタ・ファニングが可愛すぎてそれだけでも見る価値ありですな。