愚かなる独白

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ろくでなしの雑記

品川祐監督作『Zアイランド』は中途半端…

Zアイランド



今更だけど品川祐監督の『Zアイランド』を観ました。結論から言うと、全体的に中途半端でつまらなかったですね。興行的にもスベったみたいだし、あまり期待はしてなかったんですけどね。

まず一番の問題は、笑いの要素が邪魔になっているという点ですかね。

この映画ではキャラクターたちが終始漫才的な掛け合いをしたり、ボケたりツッコんだりするわけです。しかもそれがゾンビが出てきて逃げているシーンでも行われるので、登場人物がふざけているように見えるんです。つまり真剣に生き延びようとしていない感じ。

それによって、観ているこっちとしても真剣に入り込めないし大して焦りも生まれないので、前半はいいけど中盤あたりからダレてくるんですよね。

ゾンビによる恐怖や死を描くのであれば、キャラクターたちはもっと真剣に行動すべきだし、その行動や思考も観客と同じ水準かそれ以上のレベルに持っていかないといけないと思うんですよ。

つまり「ああすればいいじゃん」とか「こうすればいいじゃん」と観客に思わせないくらい、説得力のある行動をしてほしいってこと。「こういう状況になったら自分もこうするかもしれない」とか「こうするしかないんだ」と思わせることでサスペンスが生まれて、観客にも緊張感が生まれるわけなので。

なのに本作では、例えば本土から助けを呼ぶために110番する時に、ゾンビって単語を使うといたずらだと思われるからゾンビって単語は使うなと言ってるのに、登場人物たちが揃いも揃ってゾンビって言ってしまうというお笑い展開があったりして、観てる方としては「バカかよこいつら」って感じてイライラしちゃうわけです。だからその辺をもっと考えて欲しかったなぁ。

でもそれじゃあ笑いの要素を入れられないじゃないか、と思うかもしれませんが僕はそれは違うと思います。むしろ真剣にやればやるほど笑いを生みやすい環境になると思います。

笑いを生み出すのに重要なのは緊張と緩和です。真面目なシーンをこれでもかというくらい真面目にやってちゃんと緊張感を演出したほうが、ちょっとしたボケとかおバカな展開があった時に笑いやすくなります。

その笑いも「こうしなければならない」という必然性から成り立つおバカな展開だったりで作れば、緊張感を損なうことなく笑えるはずなんです。何故なら登場人物は仕方なくそうしてるだけであってふざけているわけではないからです。

例えば、どっかから盗んだ物を食べた人物が腹を壊して、その後ゾンビから逃げて隠れている時にオナラをしちゃって気づかれる、とか。いや、これも別に面白くないかもしれないけどさ……。でもこれだったらバカっぽい展開だからギャグにもなるし、オナラをしてはいけない状況で我慢するという誰でも経験があることだから共感も生まれやすい。そして、強いキャラというのは安心感があって緊張感を損なわせるという意味でこの手の話だと邪魔になりがちだが、お腹を壊すのを強いキャラにすることで戦えなくして緊張感を保つこともできる。さらにその後うんこしてから復活する時にカタルシスも作れる。

つまり、笑い自体が緊張感を削ぐわけではなくて、”ふざけているように見える笑い”が緊張感を削ぐんですね。で、テレビ的なボケツッコミは、端的に言ってしまえばふざけあっているように見えるだけなので、この手の映画とは相性が悪いんですよ。

だから本作はゾンビ映画としての恐怖などもテレビ的な笑いによって緊張感が損なわれ中途半端になっていて、さらに緊張感が損なわれることで笑いも生まれにくいので、全体的に中途半端なんですよ。

じゃあ品川監督お得意のアクションはどうなのか、ということですが、そのアクションもあまり良くはなかったですね。相変わらずスローを多用していて正直辟易しました。僕あれ逆効果だと思うんですけどね。

つまりどういうことかと言うと、スローでアクションを見せることによって緊張感が損なわれているってことです。1分なら1分。10秒なら10秒というようにリアルタイムで描写する方が臨場感があっていいと思う。実際の喧嘩のように一瞬で終わったりした方がリアリティがあって面白いはずなんですよ。

例えば序盤のヤクザ襲撃のシーンなんかもスローを使わずに、ヤクザの元に殺し屋がやって来て銃を何発かぶっ放して去っていくという一瞬の出来事のように撮った方が、確かに一瞬で終わるので物足りなさはあるかもしれませんが緊張感は持続するはずですよ。「何だったんだ今のは……」というように。だからアクションのスローもやめてほしいですね。

映画の構成にも文句があって、こっちはゾンビの件を見たいのに、ヤクザのごたごたと並行して話が進むので一々ブレーキをかけられるようで嫌でしたね。その辺も下手だなぁと思いましたね。

あと家出した娘がゾンビになってて一緒に殺してくれとか言う展開は安っぽくて全然入り込めなかったし、窪塚演じる警官が女子高生をかばって死ぬ時に女子高生が泣きじゃくるけど、出会ったばっかりなのに泣くかよって感じで不自然だった。

ただ良い点もあって、それはキャラクターですね。特に敵役の殺し屋三人組。特にキム兄と千鳥の大吾。この二人は完全にハマり役でしたね。極悪非道で恐怖心とかも欠如している感じで、戦闘もめっちゃ強い。僕は個人的に良心の欠片もないようなチンピラとかヤクザといったアウトローがめっちゃ好きなので、この殺し屋三人組がメインの話を観たいくらい。

ということで、映画全体としては笑えないし怖がれないし爽快感もないしで中途半端。構成は下手で映画に入り込みにくいので全然ダメダメですね。
良かった点は敵のキャラクターって感じっす。

品川監督は器用だけどなんか爪が甘いというか、考えが浅いところで止まってるという感じがしますよねぇ。もっともっと掘り下げて考えていけば器用なんだから面白い映画撮れそうなんだけどなぁ。

次回作の構想はあるみたいなので、次の作品に期待してます。