愚かなる独白

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ろくでなしの雑記

『斉木楠雄のΨ難』実写化!なぜ漫画の実写化はつまらないか

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引用元(映画『 斉木楠雄のΨ難 』オフィシャルサイト

3月15日に映画『斉木楠雄のΨ難 』のビジュアルが公開された。先日も『ジョジョの奇妙な冒険』が実写化されることが発表されたが、またもや人気漫画の実写化が行われる。ネット上では「イメージと違う……」という不満の声が続出しているらしい。

今年公開の映画で漫画実写が沢山ある。『銀魂』『鋼の錬金術師』『3月のライオン』『無限の住人』『攻殻機動隊』『帝一の國』などなど……。

これらはまだ公開されていないので出来はどうかわからないが、今まで漫画を実写化した映画で完成度の高かったものはほとんどない(『アイアムアヒーロー』は面白かった)。それは一体なぜだろうか。僕なりに考えてみた。

 

1. 表面上だけ再現しているから

 今回ビジュアルが公開された『斉木楠雄のΨ難』を見てもわかるが、現実にはありえない姿形をした人間が登場することが多い。髪型一つとっても、あきらかにカツラだったり不自然なセットの仕方をしている。一言でいうとただのコスプレにしか見えない。
 こういうのは、「漫画の世界を再現してみました!結構再現度高いでしょ?」みたいな志の低さを感じる。
 表現するのは難しいが、なんか、漫画の実写化としてのクオリティを意識しすぎていて、映画としてのクオリティが疎かになっている感じだ。
 はっきり言っておくが原作に忠実にやっても映画として面白くなるとは限らない。

 

2. 上映時間に合わせて短く改変されているから

 映画の上映時間はだいたい2時間くらいだが、日本の漫画の長さは巻数でいうと何十巻もあってわりと長い。だから全て描くことはできないからどこか一部を切り取って映画にしているが、その選択が非常に難しいのだろう。
 建前上は、せっかく漫画を実写化するのだからその漫画で描かれていることの本質を抜き取り、それを映画に置き換えて表現するべきなのだろうが、製作者はそういうことを考えていないのかもしれない。

 

3. 映画の内容より役者がメインだから

 普通はその映画の世界を構築するためにセットや役者があるはずだが、日本の映画では役者がどんな役を演じるのか、役者がこんなことをした、というように役者がメインに立っているように感じる。つまり役者が写りを気にしているということだ。
 役者に変なことをさせて笑いを取ろうとすることが多いことから考えて、根本的にそういう考え方があるのではないだろうか。もしそうなら映画が面白くなるはずがない。映画が面白いのではなく役者が面白いだけなのだから。

 

4. 映画的表現と漫画的表現をわかっていないから

 えらそうに言えたことではないが、これが大きいと思う。映画的表現というのは映像で語ることだが、それができていない。僕は漫画も絵で語るべきだと思っているので正直日本の漫画もダメだとは思うが、人物の気持ちをセリフで一々説明してしまうことが非常に多い。漫画だったらまだ絵だからいいが、実写でやられると独り言を話しまくっていて不自然だ。映画的表現というのは別にこれだけではないが、とにかくそういうものができていない。
 漫画を忠実に再現すると言ったって、そもそも映画と漫画では媒体が違うのだから表現方法だって異なるのが当たり前だろう。

 

 

と、まぁ四つの理由を挙げてみたが、もっと他にも理由はあると思う。それに面白く無い理由は作品それぞれに別個の理由があるはず。

ただまず大前提として、漫画は映画化には向かない。日本の漫画は、アメリカのドラマと同じでクリフハンガー方式だ。つまり続きが気になる展開を作って読ませていくという手法を取っている(連載だから)。だから連載が始まった当初はオチまでは決まっていないことが多い。それでもいいのだ。オチは正直どうでもいい。中盤、どれだけ夢中にさせるかということに作家は心血を注いでいる。

対して映画というのは初めから終わりまで一つの作品としてきっちり作り込んだものだ。だからその漫画を映画にすると、そもそも原作の時点でダメだったものが映画にすることで浮かび上がってしまうことが多々ある。連載だと気にならなかった部分が気になってしまうのだ。

つまり漫画としてクオリティが高いということと、映画としてクオリティが高いということは別だ。だからこの二つは非常に食い合わせが悪い。その辺を考えずに実写化するとまず失敗する。

そしてもし漫画を実写化するのであれば、ほぼ確実に改変は必要だ。よく改変を「原作レイプ」と言って怒るファンはいるが、僕は改変は悪いことではないと思う。

「漫画で描かれていることや、登場する人物を、もし現実に置き換えたらこんな感じだよね」というものを作ることで初めて実写化する意味が出てくる。例えば髪の毛がツンツンのキャラがいたら、その髪型を再現するのではなくて、それを現実に置き換えるとどういう髪型かを考えるべきだ。もし原作に忠実にやるのであれば映画を見る意味はない。原作の漫画を読んでおけばいいし。

例えば小説を漫画にしたとすれば、想像で楽しんでいた場面を絵にすることで別の楽しさが生まれる。漫画をアニメにすると、止まっていた絵が動くことの楽しさがある。

このように、漫画が原作の物語を実写映画化するのであれば、二次元だったものが三次元、つまりリアルになることの楽しさがあるわけで、それを出そうと思えば現実に置き換えるという作業が必要不可欠だ。そしてそれをやると監督のセンスが問われることになるだろう。

いろいろ書いたが、漫画の実写化がつまらない理由を一言でいうと、
漫画と映画という媒体の違いを理解せずに作っていることからくる歪みが原因
という感じだろうか。

 

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