愚かなる独白

ろくでなしの雑記

映画『ATM』を観たけど駄作すぎワロタ

ATM [DVD]

 

Netflixで『ATM』を観た。
ストーリーは単純で、主人公の男とその同僚の男と女の3人が、ATMに金をおろしにいくと、外にファーコートを着た『ウシジマくん』の肉蝮みたいな男が突っ立ていた。そしてその男はどうやらこっちを狙っているらしくて超怖い。って話です。

観終わってからネットで評価を調べてみたところ、最悪の評価。
ネタバレありなので観たい人はまず観てから読んでください。

この映画を観た人誰もが感じるところだと思いますが、まず主人公たちの行動が馬鹿すぎる。ATMから一向に出ないのです。要は全く逃げようとしない。まぁ後半主人公の同僚一人が逃げ出しますが、その時にはもう、『悪の法則』みたいな感じで道にワイヤーが張られていて逃げるのに失敗します。他に逃げるタイミングがいくらでもあったのになぁ。

そもそも一対一ならまだしも、こっちは男二人いるわけですから、勝てんじゃね?と思ったんですが無理なのかな……。僕は観てて真っ先に「やっちまえよ」と思ったんですが。まぁはじめは相手が銃を持ってるかもしれないとかで近寄れないのはわかりますが、そのあと犯人はなんの武器も持っていないことがわかったんだから戦えばいいし、戦うのがいやでも走って逃げられると思います。厚着してて足も遅いし。

そして何よりみんなが不満に感じるところですが、犯人の目的がわからないことですよ。最後まで目的は明かされないんですよね。

犯人が監視カメラの写っている範囲や周辺の建物などをしっかり調べていたことが映像的に説明されるので、犯人は計画的に何かをやっていたことは確か。そしてラストにまた新たな場所の設計図を作っていたので、目的は人物にあるわけではない。つまりはじめから主人公がターゲットで復讐のために襲われたわけではないだろうということ。主人公がターゲットならこんな回りくどいやり方をする必然性がないからです。おそらく場所そのものがターゲットって感じなんだと思います。つまり愉快犯。

主人公はカメラのおかげで助かるかと思いきや、カメラのせいで殺人犯に仕立て上げられるわけですから、防犯カメラは無意味だということを立証したいとかそんな感じ。とにかく愉快犯だと思います。

でも、だとするとおかしいのは、犯人は最後主人公を殺そうとしてますよね。多分。でもそこで警察が来て犯人は逃げる。だとすると、主人公を殺人犯に仕立て上げることが目的ではなかったということですよね。ならやっぱり犯人はただの快楽殺人者ということなんですかね。でも快楽殺人なら、犯人は男なのでターゲットは女になる可能性が高いし、何よりあんな回りくどいやり方は意味がない。捕まるリスクも高い。

犯人の計画はおざなりすぎるんです。偶然が重なったから成功しただけですからね。だって本来なら主人公たちは携帯電話をもっているはずなので、通報されて終わり(たまたま持ってなかっただけ)。警察が通りかかる可能性もある。警察ではなくても自分よりも(犯人よりも)強い男がATMに来る可能性もある。警備員が来たけど、たまたま勝っただけで、もしかすると負けた可能性もある。立地的にも周りが広すぎてどこからか誰か見てる可能性もある。つまりあんなのは計画とは言えないんですよね。

作り手はおそらく、設定をまず考えて、それに都合のいいようにストーリーを展開していってますが、これではエンターテイメントとして成立しません。

我々観客が普通に思いつく打開策、例えば通報するとか、警報機を鳴らすとか、走って逃げるとか、戦って倒すとか。それらをキャラクターが行うが、それを上回る犯人の作戦によって主人公たちが追い込まれる。という展開にしないとエンタメにならないでしょう。本作は、いい加減な犯人の計画があり、それを成立させるために都合の良い展開にどんどんされていく。そりゃ観てる側はイライラしますわな。つまりもっと脚本を練り込む余地があるってこと。

そして何よりも、犯人の目的や動機をもう少し説明したほうがいいですね。
この犯人が登場して観客がまず思うことは、犯人の目的は何だろうということなので、説明しないとスッキリしないでしょう。じゃないと観客にこの映画を観たのは時間の無駄だと思われるだけですよ。

そもそもこの手の映画は何かメッセージ性を込めたものでもなく、ただのシチュエーションスリラーですから。そんな映画で”観客に考えさせる”みたいな結末はいらないし無意味。どうせ深い意味なんてないんだから。どうせ思いつきで作った作品だってみんなわかってるんだから。

あぁあと序盤の主人公と女の薄い恋愛要素はいらないし、パーティーシーンもいらない。そして30分くらいの短編にすればよかった。

まぁ点数をつけるとしたら100点満点中30点以下。