愚かなる独白

ろくでなしの雑記

関西芸人が東京進出で成功しづらい理由

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 ジャルジャル、千鳥、天竺鼠、その他様々な関西芸人が東京に進出しているが、いまいち成功しづらい現状がある。

やはり東京は笑いのレベルが高いのか?

それとも関西と東京では笑いの質が違うのか?

 おそらくだが、そんなことはないと思う。 

 関西だろうと関東だろうと、もちろん少しの違いはあるだろうが、これだけインターネットが普及した昨今ではほとんど関係ないと思う。ダウンタウンブラックマヨネーズなどお笑い界で圧倒的な実力だと言われているコンビは関西出身だし、島田紳助明石家さんまなどの大御所も関西出身だが東京で活躍している(紳助は引退したが)。つまり「関西の笑いは東京では通用しない」わけではないだろう。

 現にダウンタウンも初めから受け入れられたわけではないし、さんまですら、おかしな目で見られていたらしい。

 

 

何故、関西芸人が東京に来るとヒットしないのか。

警戒心によるバイアス

 単純に「慣れの問題」だと思う。

 笑いというのは人間の生理的な部分を刺激するものだから、こちらが「笑おう」という気持ちがなければ笑えないし、個人的なバイアスがかかりやすい。だからよく知らない人が「何か変なこと」をしても、中々笑いづらい。それが逆に慣れ親しんだ人が、さほど面白くないことを言っても、安心して笑えてしまう。

 誰しもこんな経験があるのではないだろうか。

 例えば、小学校から中学に上がるときや、中学から高校に移ったとき、同じ学校出身の者同士で盛り上がっているのを見て、「何だこいつら……つまんねぇ」「笑いのレベル低っ」と感じてしまう。他にも塾に行った時、他の学校の生徒の話しを聞いて、白けてしまうこともある。

 それらは、自分がその空気やリズムに慣れていないからという理由もあるが、最も大きいのは、ただその人自体に慣れていないから生まれる感情だ。

 だが自分が地元の友達と戯れている時のことを思い出して欲しい。そんな大したことはしていないし、たわいないことで大爆笑してしまうこともある。そして、おそらく他の人にも同じように「つまらない」と思われていることだろう。

 人間は自分の知らないものや、理解できないものに恐怖を感じるし、警戒する。気を張った状態になる。そんな状態では笑えるものも笑えなくなる。 

よそ者を嫌う心理

 誰しも、自分の「慣れ度」によって大きく左右される。

 入学した当初は「絶対にこんな奴らと友達になるか」と思っていたのに、卒業する頃には「最高の友達!」になっていることは珍しくない。

 だから恋愛でも、一度好きになってしまえばどんどん好きになってしまうのだ。慣れれば相手のちょっとしたことで面白いと思えるし、ちょっとしたことが愛おしいと思えるようになる。そうしてますます好きになる。

 逆に嫌いだと笑えないし愛おしいと思えない。相手のやることなすこと全てが嫌いになる。

 芸人の東京進出で成功できないのにもこれと同じことが起きているはずだ。初めて見たよくわからない芸人のネタで笑う気になれない。よそ者を嫌う心理だ。

見下しの心理

 そして、「慣れていないから警戒心が生まれ笑えない」「よそ者だから嫌われる」と書いたが、それ以外にもう一つ理由がある。それは、「相手を自分より下に見ている」ということだ。

 学校の例えでもわかる通り、結局相手を下に見て蔑んでいるのだ。

 初めての芸人を見た時、そこには 「ふん、よくわかんねぇけど、こんな奴らで笑うかよ」という深層心理が隠れているはずだ。

 そして、実はイケメンより、おっさんやイカツイ奴の方が有利だと思う。例えば最近だと鬼越トマホークとか。やはりそこには「見た目が怖いからなめられにくい。だから冷静に判断してもらえる」というのがあるのかもしれない。

 

面白さを追求することの苦労

好きだから面白く感じる

 ごく稀に、慣れていないのに笑える凄い人たちもいる。だがそれは純粋な笑いの実力というより、その人たちのルックスだったり、態度、さらには醸し出す雰囲気みたいなものが自分の好みに合った時、面白いと思える。単純に言えば、カッコイイ奴らは笑えて、ムカつく顔をした奴らは笑えないということだ。それも含めて実力だとするならそうだろうが、厳しい現実だ。

 つまり人間は「面白いから好きになる」のではなく「好きだから面白くなる」ということ。必ずしもそうではないが、ほとんどの場合そうだ。 

大衆は厳しい

 バイアスが一切かからない冷静な大衆の方が少ないので、人気が出ない可能性の方が高い。しかしそれは当たり前だ。これだけ芸人やタレントが溢れている時代に、新しい奴らが出てきても、わざわざ自分がそれを見る必要はないからだ。「自分は自分が好きなものだけ見てるからいいんだよぉ」という気持ちになってもおかしくはない。だから本当にお笑いが好きなお笑いオタクみたいな人くらいしか、冷静で客観的な判断をしてくれない。言ってしまえば大衆はそれほど甘くはないということだ。

 

地方の芸人はどうすれば東京で売れるのか

「敵の敵は味方」的な、アレ

 自分が初対面で受け入れ難かった人がいて、またさらに知らない人に会うと、一度会っている人の方が好きだと思えるという経験が自分にもある。

 例えば、ちょっと前だと一発屋芸人でスギちゃんが人気だったが、その時にスギちゃんのことをつまらないと思っていた人もいるだろう。そしてそれからまた新たな一発屋芸人が何組も登場した。そこで「またつまらない奴らが出てきたか」と思う。だがそいつに「今の一発屋とスギちゃんどっちが好き?」と聞けば、「スギちゃん」と答える人が多いと思う。「こいつに比べたらスギちゃんの方が良かったなぁ」となるのだ。結局それは慣れの問題だ。

 失礼だが、ダチョウ倶楽部だって今新人で出てきたら間違いなくつまらないと言われるだろう。

 若者と年長者の好きな芸人がずれているのも、自分が慣れ親しんでいるものの違いによる。

 ということは、他の東京進出組が出るまでなんとか粘るのも一つの手だろう。

大事なのは自己プロデュース

 東京進出する芸人は、まず大衆に自分たちの存在を慣れさして、好きになってもらう努力から始めなくてはならないし、他にもなめられてはいけないとか、ファッションだったり佇まいみたいなものまで自己プロデュースしていかなくてはならないだろう。

 何と言っても「好きになってもらう」のは必須条件だ。これはお笑いのネタを好きになってもらうという意味ではなくて、自分自身を好きになってもらう、ということだ。

 とにかく露出をすることが大事

 ただ、好きにさせると言っても、人格を好きにさせるわけではない。人間は必ずしも性格のいい人を好きになるわけではない。最近の若手芸人に多い「気を使いすぎな雰囲気」や「いい子ちゃん的な態度」自体がウザがられる原因となることもある。

 「好きになってもらう」というのを勘違いして、ネットなどで叩かれないように真面目に真面目にとやっていては寧ろ嫌われるかもしれない。そこが難しいところだ。

 つまり結局、慣れさせる為に地道に露出を続けるしかないのだろう。今はネットもあるからそういうので認知してもらうのがいいのかな……。

 

 

まとめ

成功しない理由

・慣れていないから警戒心が生まれ笑えない

・大阪から来たよそ者を嫌う心理が働き笑えない

・気に食わないから見下してしまい笑えない

 

成功する方法

・他の東京進出組が来るまで粘る

・笑いだけじゃなく好かれるように自己プロデュースに気を使う

・とにかく沢山露出をして視聴者を洗脳する

 

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芸人が増えすぎたことが問題であるような気も……