お笑いの基本概念「緊張の緩和理論」を解説
お笑いの基本的な概念である「緊張の緩和理論」。よく聞く言葉ではあるが、一体どういう理論なのだろうか。
これは落語家の桂枝雀が唱えたもので、緊張の緩和が笑いを生むとする理論である。元々は落語の理論であったが、これは全ての笑いに共通する理論なので、この理論を知っておくと、コメディなどの物語をつくる際に役立ち、逆説的に、ホラーなどを創作する際にも役立つだろう。ただ、緊張の緩和と言われてもよくわからないので、ここで自分なりに解説してみようと思う。
笑いとは何か
大前提として、人は快感を得る時に、緊張から解き放たれて緩和する。その「緩和」の部分が笑いだ。そして笑いには段階があって、大きく分けて三段階に分かれている。
緊張の大緩和
一番根底には「緊張の大緩和」がある。これはいわば、”悟り” のようなもの。悟ったらもう「緊張」がない。緊張がないということは、笑いも生まれない。いや、常に笑いがある状態と言った方が適切だろう。永遠に続く緩和なのだ。
喜びの笑い
大緩和の上には「喜びの笑い」がある。これは、例えば大昔に狩りをしていた時、獲物を捕らえて「やったー!」というものだ。これも大きな笑いであり、喜びは長い笑いである。
笑い
そして一番上には、我々がいつも言っている「笑い」がある。これは時間的に言えば一番短い。その時だけの瞬間のものだ。
このように、ピラミッドになっている。世の中にある、映画や喜劇、漫画や小説、といったものも、全てが緊張の緩和で笑いが起こるのだ。
笑いの分類
笑いは段階があると説明したが、笑いはその他に種類もある。
1.知的な笑い『変』
2.情的な笑い『他人のちょっとした困り』
3.生理的な笑い『緊張の緩和』
4.社会的・道徳的な笑い『他人の忌み嫌うこと』
この四つに分けられる。一つ一つ説明していこう。
1.知的な笑い『変』
普通なことは『緩和』(安心)で、変なことは『緊張』である。頭で考えて「それはおかしいぞ。なんか変だぞ」という、この『変』が緊張だ。おかしなこと、ありえないことに人間は恐怖を感じるからだ。
じゃあ漫才のネタなどでは何故笑えるかというと、それはネタであるということ、つまり遊んでいるというのが大前提として客がわかっているからだ。大緩和が根底にあるから『変』さえ起こせば笑いになる。
それが例えばネタじゃなく、人が浮いているとか、本当におかしなことがあれば、人は驚いてしまって笑いにならない。緊張が勝ちすぎて緩和しないのだ。全てに言えることだが、緊張が勝ちすぎると「笑い事ではない」となってしまう。普通であることから少しズレると『変』になる。
そして、ズレるのとは逆の”合う”のも『変』だ。自然には合うものなど無い。ピッタリ合うのは不自然なことだから、何かが物理的にピッタリ合うと快感だし、物語でも別々に進んでいると思われたエピソードがピッタリ合うと快感だ。それが面白いと感じる。
2.情的な笑い『他人のちょっとした困り』
『困り』が緊張。困っていないのが緩和。だが自分が困ると笑えない。だから他人事でないといけない。しかしいくら他人事といえども、人間には共感能力があるから『ちょっとした困り』でなければならない。
よく言われる例だが、貧しそうな人が歩いていて転けても、かわいそうだから笑いにならない。でも、リッチでキザな男が格好つけて歩いていて転けると笑いになる。「奴ならいいだろう」という人間心理である。
3.生理的な笑い『緊張の緩和』
1も2も全ては生理的なものだから結局はこの3に当てはまるのだが、もっと根底の生理的な部分でいえば、例えば赤ちゃんに「いないいないばあ」をする。初めは笑わない。緊張が勝っているから。もちろん知らない人がしても笑わない。緊張が強すぎて泣く場合もあるだろう。だが段々慣れてきたり、信頼の置ける母親が「いないいないばあ」をすると笑う。
これは「ばあ」とした瞬間に緊張が発生するが、両者の間で信頼がある、つまり緩和が土台にあるから笑えるのだ。友人同士で変な顔をして笑わせるのも同じだ。ふざけているというのがわかったら面白いが、全く知らない人が急に目の前で変な顔をしてきても怖いだけである。
4.社会的・道徳的な笑い『他人の忌み嫌うこと』
これは単純で、要はタブーに触れるということ。有吉弘行などの毒舌芸人ど言われている人の笑いはこの系統だ。一人でいるときは発生しないが二人以上になると言ってはいけないことが発生して、それをいうと笑いになる。
言ってはいけないというのが緊張。それを言った後の相手のリアクションによっては緊張が緩和しない場合もあるが、相手が笑っていたり、冗談として通じていれば緩和されて笑いになる。
1〜3までは人類全てに共通する(もちろん知識などによって個人差はあるが基本的な部分は共通する)が、この4だけは国や文化、考え方が大きく変わってしまうと一切通用しないので、よく国によって笑いの種類が違うと言われるのはこの部分が原因だ。だから外国人を笑わせようと思ったら、1〜3のどれかで笑わせれば大丈夫だろう。
サゲ(オチ)の分類
落語にはサゲがある。すべらない話などの笑い話にもオチというものがある。そしてそのサゲ(オチ)にも種類があり、4つに分けられる。
1ドンデン(「合わせ」から「離れ」に)
2謎解き(「離れ」から「合わせ」に)
3へん(離れ)
4合わせ(合わせ)
そしてそのオチには領域区分というものがある。
「ホンマ領域」という部分が通常の話の筋で、つまり正常なので「緩和」である。対して「合わせ領域」「離れ領域」の部分が、上でも書いた通り、離れるのも合うのも異常なものであるから「緊張」である。
話が変な方向に転がっていく(離れ領域)と「なんじゃそれ」「そんなアホな」と不安になり、逆に話の辻褄が合う(合わせ領域)と「そういうことだったのか」と、安心する。
両方変なことではあるが、それが笑いとして成立するのはネタだからだったり、すべらない話のように笑える話であると明言しているからである。
1ドンデン(合わせー離れ)
ドンデンは、よく言うドンデン返しの「ドンデン」である。
これは、話の筋が一度合いそうになるが、結局最後は離れていく。というオチだ。
一度安心しそうになると「実はそうじゃないんだ」と話が思わぬ方向へいくようなもの。
これに分類された落語『時うどん』
2謎解き(離れー合わせ)
これは一度離れていきそうになるが、最後には合うオチだ。
オチに近づいていくにつれて疑問が起こり「何故こうなるんだ?」と不思議に思っていると「実はこうだったのか」と安心の『変』へ収束する。
これに分類された落語『皿屋敷』
3へん(離れ)
これは今までとは違い、膨らみも萎みもせずに突然『変』が訪れる。
これに分類された落語『池田の猪買い』
4合わせ(合わせ)
これも3と同じ、急に合わせるオチ。
これに分類される落語『死神』
YouTubeにあったので千原ジュニアver.
四つのサゲの総合関係
右の「ドンデン」と「へん」が「そんなアホな」というサゲで、左の「謎解き」「合わせ」が「なるほど」というサゲ。また、上の二つが「緊張と緩和」がはっきり区別されているが、下の二つは「緊張と緩和」が混ざっている。
全てのネタは図の座標上のどこかの一点をしめている。だがこの四つは完全に孤立しているわけではなく、互いに影響しあいサゲをこしらえている。
例えば、謎を解く手段に「合わせ」を使ったり、謎を解いた結果が「へん」になったり、というように。
このように、笑いというのものにもしっかりとした理論がある。わざわざネタを作るときにこの理論を意識しなければならないわけではないが、知っているのと知らないのとではずいぶんと差があるだろう。自分の作ったネタや作品が自分でおもしろくないと感じた場合などに、なぜ面白くないのかを考えるためこの理論は非常に役立つからだ。
これは人を笑わせる理論だが、これを応用すれば、怖がらせることもできる。だから漫画家を目指していたり小説家を目指している人も、この理論はしっかり勉強しておいた方がいいと、個人的には思う。
ここに書いてあることよりもっと詳しいことが知りたければ、以下の本を読んでください。
漫画家になるために揃えるべきアイテム一覧
僕自身も昔は漫画家を目指していました。
色々なアイテムを揃えて漫画を描いたが、その時に得た知識から、今から漫画家を目指す人たちへ揃えるべき道具をお教えしたいと思います。
Gペン
漫画と言えばコレ。Gペンである。
漫画というのは白黒で表現する為、線の箇所によって太いところや細いところなどの強弱をつけることで、臨場感を出すのだ。
初めはメーカーなど何でもいいが、とりあえず有名どころで、ゼブラのGペンにするといいだろう。
人によっては、Gペンを使わない場合もある。例えば『無限の住人』の作者である沙村広明は、ピグマのミリペンを使って描いているらしい。
だが沙村広明は画力が高いのでそれでも成立するが、初心者のうちはGペンを使ったほうが描きやすくていいと思う。
丸ペン
主に背景や、人物の髪の毛を描くのに使われる。
ペン先というのは使うとすぐにダメになるので、初めのうちはセットの物を買ったほうがいいだろう。
他にも、強弱をつけない均一な線を描くためのカブラペンなどがある。
ちなみに『幽遊白書』や『ハンターハンター』の冨樫義博はカブラペン(たまペン)だけで描いているらしい。
ペン軸
ペン先をつけるペン軸。これがないとペン先があっても絵は描けない。
何を使ってもいいが、自分がこれを使っていたということと、このペン軸ならGペンも丸ペンも両方差せるようになっているので、これ一本買えばとりあえず漫画は描ける。なので金のない漫画家志望にはうってつけかと。
原稿用紙
ただの紙だが、これにも色々な種類がある。だが、サイズさえ合っていれば実は何を使っても良い。
しかし初心者の内は、印刷範囲の目印や枠線が印刷されている、漫画専用の原稿用紙の方がいいだろう。
プロになると出版社が用意してくれたりもするが、初めは専用の物を使っていれば間違いない。
インク
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インクといっても実は種類があって、大きく分けると「顔料インク」と「染料インク」がある。
顔料インク
・漫画用インク
・墨汁
・製図用インク
染料インク
・サインペン
・万年筆
このようになっている。
染料インクは色もあせるし、消しゴムをかけると色も落ちるので、インクを買うときは必ず顔料インクである漫画用のインクを購入しよう。
ホワイト
ホワイトとは、失敗箇所を修正したり、髪や瞳の光を表現したい時に使用する。
大きく分けて「ホワイトカラー系」「ポスターカラー系」「修正液系」に三つがある。
使い方は筆を水で濡らして絵の具のように使うのだが、加減が難しいので使う際にはあらかじめ練習が必要である。
スクリーントーン
薄いフィルムのようなもので、網目や集中線のような模様など、様々な種類のトーンがある。これを貼って、ペンだけでは表現できないような影などを表現する。
トーンを使用したい箇所に合わせて、カッターで切り取って貼り付けるのだが、力加減が難しく、初心者のうちは原稿ごと切ってしまうことも多いので注意が必要である。
漫画セット
色々なアイテムを揃えるにはお金がかかるので、安く一気に揃えたいという人には、漫画家セットをおすすめする。
練習用にこれを買って、散々使い尽くしたら、本格的に描き始めてもいいかもしれない。
その他必要なもの・あると便利なもの
カッター スクリーントーンを切るときに使用。
鉛筆 下書きの際使用する。
定規 枠線や集中線、曲線など、様々な線を引くときに使用。
マスキングテープ 色をつけたくない場所を保護するのに使用する
モデル人形 人物を描くときの参考にする
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漫画家になるには相当な練習が必要です。デビューしてからも常に努力をしていないとすぐ淘汰されていく厳しい世界。それをわかっていても創作がしたい、そんな強い思いを持っている人が漫画家として成功することができるのでしょう。
絵は描けば描くほどある程度上手くなるが、ストーリーなどは自分の持っている知識やセンスが物を言います。なので普段から漫画やアニメ以外の情報やコンテンツにも触れている必要があります。
僕は漫画家を目指す人はみんな映画を観るべきだと思います。演出やセリフ回しなど、漫画を描く際の参考になります。最近の漫画は文章で全て説明してしまうものが多いですが、漫画は小説とは違って、せっかく視覚的な表現ができるのですから絵やコマの切り取り方で見せないと漫画である意味がないと思います。究極的には、文章なしで絵だけで表現できてこそです。それができる作家が優れた作家なのでしょう。映画はそのことを学ぶには非常に良いコンテンツです。みんな映画を観て学びましょう。そしてニュースなどをチェックして常に情報を仕入れましょう。上から目線でごめんなさい。
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子供には見せられない、暴力的なマジキチ漫画10選!
子供の頃から漫画を読んできたが、そのほとんどは少年漫画ではなく、青年漫画だった。
年上の従兄の家に行くと置いてある暴力的な漫画を読んで育ったわたくしが、独断と偏見で選ぶ『暴力漫画』10選。
シグルイ
江戸時代初頭、天下の法に反して駿河城内で挙行された真剣御前試合で対峙したのは、片腕の若武者と盲目の天才剣士だった!! 残酷無惨時代劇!!
アニメ化もされ、WOWOWスクランブル枠で放送された人気作品。
筋肉や体の筋などを強調して描かれているので、『刃牙』の板垣恵介の絵柄と似ているかもしれない。戦闘シーンの異常さも刃牙に通ずるものが……。
時代劇にエログロの要素を入れて、残虐的な描写も多く、マジキチキャラも登場する、完全に人を選ぶ漫画だろう。
しかしハマる人はどハマりするはず。
フリージア
殺人等の凶悪犯罪の被害者遺族が一定のルールに基づいて加害者に復讐する敵討ち法が成立した時代を舞台としたバイオレンスアクション。被害者遺族に依頼されたプロの執行代理人と、対象者およびそれを守る警護人達による殺戮合戦を軸に、平静ではいられなくなっていく執行代理人の歪んだ日常や、極限状態を生き延びる対象者達とその周辺の人々の葛藤などの人間ドラマが展開される。
出ました、フリージア。あらゆる漫画の中でトップに入るほど好きな漫画だ。
所謂ディストピア。舞台である日本はもうほとんど終わっている。誰もがこんな国には住みたくないと思うだろう。
見所は何と言っても、主人公の叶ヒロシ。出てくるキャラは全員イカれているが、彼はもうずば抜けてイカれている。「他者と共感できない」「自分の内側に閉じこもる」「一人でぺらぺらと喋っている」など、完璧な〝電波〟である。そんな主人公は、初めは気持ち悪いと思うが、段々可愛く見えてくるという不思議。
絵は上手いのだが、線が荒く雑な描き方なので、これも人を選ぶかもしれない。
ヒリヒリとざらつく独特のタッチで描かれるマジキチの世界を味わいたい人は是非。
女子攻兵
新東京都市。そこでは異常な兵器使った異常な戦争が行われていた。兵器の名は“女子攻兵”。女子高生型巨大ロボである。女子攻兵の登場は、今までの戦争の形を変えてしまった!主人公・タキガワ中尉率いる第13独立女子攻兵猟隊、通称“ハイエナ部隊”は制御不能となった女子攻兵を始末する殺し屋部隊。今回もいつもと変わらない簡単な任務のはずだった…しかし、彼らの前に現れたターゲットは想像を超える最悪の化け物だった!
フリージアと同じ作者が描いている漫画。絵柄はフリージアの頃よりもポップなのだが、ぶっ飛び具合で言うと、こちらの方がぶっ飛んでるかも。
おっさんが、見た目が女子高生の巨大ロボに乗って訳のわからない化け物と戦うのだが、もうその光景がぶっ飛びすぎててもはやギャグ。可愛い女子攻兵がぶっ殺される描写もヤバすぎて楽しい。
そして何よりぶっ飛んでいるのがその設定。
女子攻兵に長く乗っていると、精神汚染という現象に侵され、おっさん達の言動が段々女子高生みたいなっていく。これは斬新。狂気を感じる。
ミリオタの作者松本次郎が描くぶっ飛び戦争漫画。そのイカれた世界を味わうがいい。
ベアゲルター
狂気か? 復讐か? 3匹の獣(めす)が牙を剥き合う…おんなの修羅場! ドイツ、中国、そして日本へ! 中国の売春街で起きた謎の殺人…それはやがて、日本の某・広域暴力団内部での現金盗難事件と結びつき、とある辺境の孤島にて、予期せぬ火花となり炸裂する! ネオ時代劇『無限の住人』大団円の余韻に浸る間もなく、沙村広明が渾身で描く、背徳のエンタテインメント。
あの『無限の住人』の作者、沙村広明の描き出す、エロとバイオレンスの融合。
沙村氏の漫画はどこか「見てはいけない物を見ている」といったような背徳感がある。それがたまらない。この作品にも、R18になってもいいような描写もあり、沙村広明の一連の作品が好きな人は絶対に楽しめる。
圧倒的な画力から生み出されるアクションも素晴らしく臨場感たっぷりで、登場キャラの武器や衣装も格好良くて、厨二仕様となっている。
沙村広明の描く女の子がまた可愛いのなんの…。巷で流行りの萌え絵に見られる奇形児ではなく、写実的に描かれたリアルな女だ。男はそれに萌えるべし!
多分著者は貧乳が好きなのだろう。
殺し屋1
舞台は歌舞伎町の一画にある13階建てマンション。入居者の8割方が暴力団関係者で占められている別世界で、「ヤクザマンション」の異名を誇るホットスポット。
このカオスの箱庭にて己の誇大妄想に基づいて行動する「ジジィ」率いる歌舞伎町ハグレ者グループと、垣原率いる暴力団「安生組」の酸鼻きわまる攻防戦が繰り広げられていた。
やがてジジィの切り札イチと垣原は運命の邂逅を遂げるが・・・・・。
言わずと知れた有名漫画。この手のジャンルの中じゃトップレベルで面白いかも。
確かにグロシーンは多いし、変態描写だらけだが、ストーリー展開が半端なく高クオリティ。絵が上手くて丁寧で、非常に読みやすい。
この作品の特徴は、読んでいて「痛い」こと。読者に対して痛さがモロに伝わってくるような描写や、精神的な苦痛を余すことなく描いている。作者はそこには特にこだわっている。何故ならこの漫画はSM漫画だからだ。
究極のサディストである殺し屋イチと、究極のマゾヒストであるヤクザの垣原。この二人が戦うとどうなってしまうのか、という変態であり最高の漫画だ。主人公が人を殺して勃起している漫画を僕は初めて読んだ。
他の漫画は、グロが苦手だという人には進めないが、これはグロが苦手な人にもすすめたい。純粋にバトル漫画として面白いから。
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真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (1)巻 (ビームコミックス)
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本能のままに暴力を振るい続ける、狂気じみた謎の男 モン。そのモンに憧れ、破壊行動に協力する爆弾魔 トシ。旅を続けながら二人は爆破テロを繰り返す。時を同じくして、巨大な熊のような謎の怪獣「ヒグマドン」が突如日本に出現、圧倒的な力で人々を殺戮していく…。多くのアーティストやトップ・クリエイターから絶賛を浴びる現代最大最凶のバイオレンス巨編が、大幅な加筆修正を加えた「真説」として新生!
僕の大のお気に入り作品。同時期に連載された『殺し屋1』とともにカルト的な人気を持つ異色の漫画である。
主人公のモンちゃんは法律や道徳や倫理など全く気にせずバンバンと人殺したり、強姦したり、盗んだりする。とにかく暴力的で不条理でキツイ描写が多い。
ただこの作品を語るには、すごく長文になるし色々な準備も必要なのでここでは多くは書かない。「暴力によって哲学する」そんな漫画。
シマウマ
俺は知らなかった……この世の中には奴隷や家畜……それ以下の世界がある事を……始まりは、一通のメールの着信だった。そこに添付されていたのは、原型の崩れた仲間の顔と抜き取られた一対のアバラ骨……。小遣い稼ぎの美人局でヤクザを引っ掛けてしまった事から、タツオの日常は転がるように暗闇へと堕ちていく! 〔シマウマ〕とは、いったい何者なのか!?
「男は殴って女は犯す」暴力に暴力、暴力だらけのこの漫画。
簡単に言うと、お仕事漫画。ただそのお仕事が特殊。回収屋という仕事なのだが、世間の常識じゃどうにもならない不良品(こころ)を回収して昇華させるというわけのわからん仕事。
拷問のアイデアで見せていく漫画だが、それは読者に絶望感を与える為だったり、興味を持ってもらう為の暴力で、エスカレートしすぎで現実感がなく、痛みはそこまで感じないかも。だが気の弱い人は読まないほうがいいかもね。
軍鶏
自分の両親を刺殺した優等生の少年・成嶋亮が少年院に入り、そこで出会った空手の達人・黒川健児に師事して「生き残るための空手」を身につけ出所してからは格闘界に入り、無軌道なバトルを繰り広げてゆく。
これも有名な作品だから知っている人も多いだろう。
格闘技漫画なのだが、普通の競技漫画にある、自己修養やスポーツマンシップなどの近代体育的な価値観ではなく、格闘の負の側面である暴力の手段としての要素や、日本社会の闇、人間心理の暗黒面を大きく取り上げているのが特徴。
絵柄や演出に関しても、他の漫画にあるような大げさな描写はなく、現実的な範囲内で展開していく。それ故に、より痛々しさや怖さみたいなものが増している。
格闘技に興味のある人なら一度は読んでおいた方がいいだろう。
ウシジマくん
丑嶋馨が経営する闇金融『カウカウファイナンス』は、10日5割の超暴利。物語は、そんな『カウカウファイナンス』に訪れる客と、その関係者の様々な人間模様、そして社会の闇を描いたものである。
これはもう紹介するまでもないだろうが、好きな作品なのでぶっこんだ。
初めてこの漫画を読んだときは本当に酷いと思った。何故わざわざこんな鬱になりそうな漫画を読まなければならないのかと。だが読んでいく内に癖になる。
もちろん暴力も描かれるが、暴力的な怖さよりも、お金や人間自体の怖さが際立つ。
絵があまり上手くないが、感情の読めないキャラの顔は逆に恐怖心を煽るかもしれない。
スマグラー
役者志望のフリーターの砧涼介は、流されるままの自堕落な生活の果てに借金を作らされ、裏社会の非合法な「運び屋」の仕事をせざるを得なくなった。砧は、上司のジョーや同僚にあたるジジイと共に、中国マフィアが抗争の果てに惨殺した暴力団の組長と護衛の死体を運ぶ仕事になんとか成功する。しかし砧の「運び屋」としての次の仕事は、依頼人が以前の依頼で死体を運んだ組長がかつて率いていた暴力団。仕事の内容は、実行犯である殺し屋「背骨」を彼らの元へ運ぶというものだった。
『闇金ウシジマくん』の作者である真鍋昌平が描いた一巻完結の漫画。映画化もされたから知っている人も多いかもしれない。同じく好きな作品なのでぶっこんだ。
真鍋昌平の描く漫画には、妙な生々しさがある。ウシジマくんでもそうだが、作者は綿密に取材を重ねて描くらしいので、社会の底辺の雰囲気が気持ち悪いほどリアル。
怖いもの見たさで読んでみる価値はある作品だ。
最後に
巷では、暴力的な描写を規制しようなどという動きも目立つが、創作というのは「間違っていることでしか示せないことを描けるから価値がある」のであって、それを規制するのは、創作という物の価値自体を下げることに他ならない。
それに暴力などの恐ろしい事は現実社会にも蔓延しているのに、それを無いものとして扱うのは寧ろ危険な思想である。
大人向けの作品でエロやグロを規制するのは、大人を子供扱いしているようなもので、子供扱いされた大人は、みんなバカになっていく。すると、「自分に合うものしか受け入れない」「自分の見たくないものは見ない」「自分の好きなものしか認めない」という幼児的な大人を育てることになってしまうし、現にそうなってきている。
だからどんな時代にだって、エログロという野蛮な物は、表現の世界においては必要なのだ。
「現実では見たくない、でも現実には厳然とある」そんなものを見せることが表現の価値でもあるのだ。
人気のある優しい漫画達
暴力的な漫画ばっかり読んで疲れた心を癒してもらいましょう。
マジでヤバイほど面白いSF映画20選
SFが好きな僕が、 オススメのSF映画を紹介する。
ランキング形式にしてもいいが、それだと「これが一位かよ」とか言われそうなので、個人的に好きな作品を20個並べてみた。
2001年宇宙の旅
この映画は1968年にアメリカで公開された、SF映画の古典とも言われる名作。
アーサー・C・クラークの原作をスタンリー・キューブリックが映画化した。
初めから終わりまでほとんど会話がなく、難解な映画となっている。
キューブリックは、小説である部分をこの映画内であえて省き難解にしているので、理解できなくて当然。ただ、例え理解できなくても、映像や音楽が素晴らしいので、一度は見ておいた方がいいと思う。よく語られる映画でもあるしね。
もっとこの映画のことが知りたいという人にはオススメの書物がある。映画評論家の町山智浩さんが書いた『映画の見方がわかる本』。これには非常に面白い考察が載っている名著なので、興味がある方は是非。
映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)
マッドマックス2
メルギブソンの出世作にもなり、素晴らしく暴力的な前作の『マッドマックス』も良いが、世界大戦が原因で文明が崩壊し、貴重な石油を巡って暴走族が争いを繰り広げるディストピアを描いた『2』が最高。
バリバリのアクション映画で、ストーリーも単純明快。何も考えず楽しめること間違い無し。
漫画『北斗の拳』モデルにもなったことでも有名な映画で、男なら絶対ハマるだろう。
「続編に傑作なし」のジンクスを覆した傑作。
マッドマックス 怒りのデスロード
2015年公開のオーストラリア映画で『マッドマックス』シリーズの第四作。
ストーリーは単純で、行って帰ってくるだけの映画。
この映画はシリーズの続編だが、過去作を見ていなくても楽しめる作りになっている。ただのバカ映画だと思っている人も多いかもしれないが、そんなことはない。とてつもなくロジカルに構築されており、究極の映画的表現で出来ていることから、歴史に残る名作だと言える。ただ情報量が多く、フェティッシュすぎる為、見終わった後は一時的にバカになるという副作用がある。
そして、男性しか楽しめないと思うかもしれないが、実はこの作品、女性陣がめちゃめちゃカッコイイ。マジ半端ねえよ。ヒャッハー!!しかも泣ける。
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1982年公開のアメリカ映画。フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』が原作。
SF映画の金字塔と評される傑作。小説、映画は元よりアニメ、漫画、ゲームなど後の様々なメディアに影響を与えた。つまりSFを語る上で外すことのできない作品だ。
サイバーパンクなディストピアを描いていて、そういうのが好きな人にはもってこいだろう。
また、この映画はただのSFではなく、人間とは何かということを観客に問いかける哲学的な作品となっている。そもそも原作者のフィリップ・K・ディックの小説が哲学的な物が多い。
「人間とは何か考えさせられる」と言えば、安っぽく聞こえるかもしれないが、見ておいて損はない。
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1987年にアメリカで公開。殉職した警官の遺体を利用したサイボーグ警官ロボコップが活躍するSFアクション映画である。
低予算で作られながらも興行収入5300万ドルを超えるヒット作となった。
小学校低学年の頃、まだ映画見始めで、ほとんど子供向けの作品しか観ていなかった僕は、父に勧められて一緒に観た。
初めはいわゆるヒーロー物と思っていたのだが、序盤で警官が殺されるシーンがあまりに残虐的なスプラッターで、ドキドキしたのを覚えている。人体が欠損する描写を見たのが、多分この映画が初めてだった。そのせいで、大人になってからも暴力的なシーンがないとつまらないと思うようになってしまったという、個人的にはある意味最低な映画。いや、映画が最低というより、父親が最低だ。父は何故か、僕に大人向けの映画ばかり観せようとした(『レオン』とか『ゴットファーザー』とか『エクソシスト』とか)。
そもそも主人公が悪役にやられるなんて初めてだった僕は、ものすごい衝撃を受けた。だがその後、主人公がロボコップとなり敵を倒すのは、見ていて爽快だった(強くなるっていいよね)。個人的なバイアスがかかっているけど、おすすめ。
未来世紀ブラジル
1985年公開のSFコメディ映画。
監督はモンティ・パイソンのテリー・ギリアムで、情報統制がなされた「20世紀のどこかの国」の暗黒社会を舞台としている。カルト映画として一部のブラックユーモア好きから強い指示を受けている。
ストーリーが破綻していて監督の趣味が全開の映画であるから、今だったら確実に作れない奇抜な作品となっている。
風刺的な内容なのでそれがわからない人にとっては辛い内容だが、楽しめる人には存分に楽しめる。ディストピア映画の作り方を変えたと言われる名作だ。
ちなみに、2ちゃんねるの創設者の西村博之氏が取締役を務める会社の『未来検索ブラジル』という会社名は、この映画の題名に由来しており、情報統制社会の恐怖を扱った同作になぞらえて「あらゆることには良い面と悪い面の両面がある」とのメッセージを込めているらしい。
AKIRA
『AKIRA』は、大友克洋による漫画で、1988年にアニメ映画化された。
超能力による戦闘や超能力のもたらす恐怖、近未来の巨大都市の荒廃した有様やその崩壊を描いたSFコミックであり、緻密でリアルな描写や演出などが話題となり、漫画・映画共に大ヒットした。
総セル画枚数15万枚。アニメ映画の制作費は当時の日本のアニメとしては破格の10億円だった。
制作にはアフレコではなくプレスコ採用しており、通常のリミテッドアニメーションでの人物の口の動きは3種類であるが、この作品では母音の数と同じ5種類で描かれている。つまり、キャラクターが話している言葉通りに口が動くということだ。
アニメーションのクオリティがとにかく高く、徹底的にリアリティを追求している。
世界中に影響を与えた名作中の名作。
GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 [DVD]
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- 発売日: 2004/02/25
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『AKIRA』と同様、日本でこの作品を知らないアニメファンはいないだろう。
ジャパニメーションの先駆けとなった作品で、漫画の第1巻を原作とする、1955年に公開されたアニメ映画だ。
アメリカではビルボード誌のビデオ週間売上げ1位となり、全世界のビデオ・DVDの売り上げは130万本越え。世界でも大人気の作品だ。
この作品が影響を与えた映画でいうと『マトリックス』や『ダークシティ』などが有名。
原作漫画は91年だが、すでに電脳世界やサイバーパンク的な世界観を描いており、士郎正宗という作家が天才だということがわかる。
作画もストーリーも演出もBGMも個人的には満点をつけたいほど。ただ少し難解なので、一度観ただけでは理解できないかもしれない。もし理解できれば、この作品が如何に哲学的で素晴らしいかということがわかるだろう。
ウォーリー
僕がピクサーアニメの中で一番好きな作品。ディストピア大好きな僕は、もうたまらん。
ゴミの山と化した地球が舞台。量産型ゴミ処理ロボットであるウォーリーは、人類が地球を去ってから700年間、何があってもただ一人、黙々とゴミを積み上げていた。もうこれで泣ける。泣けるしワクワクする。
観る前は「浅くてどうでもいいエコロジー映画かな」と思っていたが、さすがピクサー、そんなしょうもない映画ではなかった。これは、様々な技術を作った人間の素晴らしさを思い出させてくれる人間賛歌の物語だ。そしてアニメーションの技術力の高さは言わずもがな。
子供が楽しめるエンタメ性と、大人も楽しめるパロディネタがあり、さらには素晴らしいメッセージ性がある。そして最後には『ファイトクラブ』ばりの毒の効いたユーモアまで入れてくる。間違いなく最高の映画だと思う。
第9地区
ドキュメンタリータッチで撮った、2009年の映画。
2009年は『アバター』がアカデミー賞を獲ったが、同じSF作品で言うと個人的には『第9地区』の方が100倍面白い。
僕はこの映画を映画館では観ずに、家で友達と喋りながら観ていたのだが、大抵そういう時は映画に集中できず、友達の手前感動するシーンでも感動できず、それなりにいい映画でも駄作になってしまうのだが、この作品は違った。途中から喋るのを止めて皆で見入っていたほど魅力的な作品だ。
とにかく気持ち悪い品性下劣なエイリアンが出てくるのだが、観ると思わず感情移入してしまう。その辺の作りも非常に上手い。
差別をテーマに扱っているが、これ程強烈にメッセージが届く作品も珍しいと思う。
ダークナイト
歴史に残る名作。『ダークナイト』 というタイトル通り、ダークで重い映画だ。
ヒーローものだと言って馬鹿にしてはいけない。文句のつけようがない程の傑作で、他のいろんなメディアでも評価が高い。唯一文句をつけるとすればアクションが下手。だがアクションはメインではないので問題無い。
ヒーローとは何なのか、戦うとは何なのかを問いかける非常に強烈なメッセージ。そして予測不能なストーリー展開。ハラハラドキドキのサスペンス。面白い。
そして何よりも素晴らしいのが、ジョーカーという悪役。このキャラクターが魅力的でたまらない。
完全にサイコでイカれてるが、知能が高く、怖いものもない。そんなジョーカーがバットマンに嫌がらせをしまくる。
このジョーカー役を演じたヒース・レジャーの演技は最高で、アカデミー賞助演男優賞を獲った。
インセプション
記憶を扱うジャンルの映画では、最も重要な映画の一つ。
ただ、相手の夢に入っていきアイデアを盗むスパイの話だが、正直「夢ってそういうもんじゃねえだろ」というツッコミたくなる。でも僕はなんとなく納得して観ていた。 納得できない人にはできないだろうが。
これもまた難解な映画で複数回観ないと理解できないかもしれない。だが映像の技術的には最高レベルで、それを観ているだけで十分に楽しめるだろう。
何と言っても、あのラストは秀逸だ。
ゼログラビティ
宇宙を舞台にしたSFサスペンス映画。
ストーリーは単純で、宇宙で事故が起こり、絶望的な状況を乗り越えて、地球へ帰還する話。一度はあきらめかけた主人公がまた歩き出すというのがテーマになっている。よくある話。
ただのパニック映画ではない。この映画の見所は、圧巻の映像や演出、そして音響。画面で起こることの全てが計算され尽くして作られてある。だが、映画館で観る為に作られた映画だから、映画館で3Dで観ないと意味がないだろう。
正直この映画をDVDで観て批判しているアホはもう論外。
宇宙を舞台にした映画ではこの作品が到達点であり、これは紛れも無い名作だ。
インターステラー
観る者の知識によって評価に差が出る映画。
SF好きの人から観ると、バリバリのハードSFであるが、そうでない人からするとただの親子愛にしか見えないだろう。
だがその親子愛も、SF的設定があるからこそ際立つのであって、そういった知識も無しに観ると、当然大した評価はしようがないと思う。
かと言って全く面白くないわけではない。リアルに作り上げられたCGによる、圧倒的な映像美。 シンプルでわかりやすいストーリー。誰が観ても楽しめることは間違いないだろう。
ちなみに、僕はアンハサウェイが好きです。
オール・ユー・ニード・イズ・キル
日本のライトノベルを原作にしたハリウッド映画。主演はトムクルーズ、エイミーブラント。所謂「ループもの」である。
話は結構単純でわかりやすいのだが、ループものを見慣れていない人たちはよくわからなかったらしいので、観る前にはある程度の予備知識を入れておけばいいだろう。
原作小説では残虐シーンも多いが、映画では多分家族で観ることを考えてか、人体が破損するなどの残虐シーンはない。
「何回も生き返るのなら怖くなくね?」と思うかもしれないが、何回も生き返ることが逆に地獄なのだ。死ねないというのはある意味地獄。しかもある程度進んでも、途中でセーブできないから「ここで死んだらまた戻らなくちゃならない」という恐怖心があるからハラハラドキドキできる。
展開的にはハリウッドの王道をしっかりと踏襲していて見やすい作品だろう。
マイノリティーリポート
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またまたトムクルーズ。おそらく、僕はトムクルーズが好きなんだろう。
ハラハラする展開と、ラストへの畳み掛けは十分評価に価する。
街並みの描き方は大したことないし、未来危機もしょぼいなあと思うが、伏線の張り方と使い方は非常に上手い。追い詰められながらも、色んな手を使い危機を脱する展開が好きなので、純粋に面白いと思った。ちゃんと暴力的なシーンもあるしね。『ヤバイほど面白い』てわけではないけど、パッと思いついたから無理やりねじ込んだ。
遊星からの物体X
1982年に公開されたアメリカのSFホラー映画。南極基地に現れた謎の宇宙生物とそれに立ち向かう隊員達を描いている。
とにかくグロテスクなゲテモノSF。そういうのが苦手な人は見ない方がいいだろう。逆に心理戦が好きな人は見た方がいい。
全くありえないB級SFなのだが、人間心理や孤立された雰囲気の描写が素晴らしい。展開に無理もないしテンポもいいのでとても見やすい。
ただ怖さを求めるのはやめた方がいい。ホラーはやはりJホラーに限る。
これは「面白い」映画。
ミスト
この悪名高き『ミスト』は、スティーブンキングの中編小説『霧』が原作の映画。
深い霧に包まれた街で巻き起こる怪異と、徐々に秩序を失う人々が描かれている。
この映画は何と言っても、ラストが衝撃ということで話題になった作品。あのラストでこの映画の好き嫌いがはっきり分かれたと思う。嫌だと言う人の気持ちもわかる。だがあれは物語のテーマ的に考えると必要だったのだと思う。
そしてラストの衝撃のせいで序盤や中盤のことが忘れ去られがちだが、実はパニック映画として非常に丁寧に作られている秀作なのだ。
スーパーに閉じ込められた人々の心理がしっかりと描かれており、それが怖い。出てくるバケモノも、生理的嫌悪感を煽るようなビジュアルで、それも怖い。
明らかに嫌がらせでしかない展開が満載で、ホラーという意味では優れた作品だ。
そして衝撃のラスト。
この映画を観る際は、是非なんの予備知識も入れずに観ていただきたい。まあネタバレしたところで衝撃は大して変わらないだろうが。
時計仕掛けのオレンジ
言わずと知れたスタンリーキューブリックの名作映画『時計仕掛けのオレンジ』。
これは娯楽映画というよりも、強いメッセージ性を持った映画だ。
主人公は勿論最低最悪なのだが、物語の後半になると、どうしても主人公に感情移入してしまい悲しくなってくる。そして主人公が復活した時には、思わずにやけてしまう。この映画は、人間とは何かについて考えさせられる。人間には良い面も悪い面もある。人はよく言う、「人間は良い面もあるけど悪い面もある。つまり人間は不完全なものだ」と。
だが、良い面しかない物が完全なものではないのではないか。良い面しかないというのは逆に不完全なのではないか。良い面も悪い面もあって初めて完全な人間なのではないかとおおおおお!!
オススメです。
猿の惑星
みんなお馴染みの『猿の惑星』シリーズ第1作。
猿が高度な知能を持ち、人間が文明を忘れ、低能で言葉すら発することができなくなっているという世界を描いている。
ちなみに原作者のピエール・ブールは、かつて日本軍の捕虜になった事があり、その経験を元に小説を書いている。つまり猿とは日本人の事だ。ただ映画版ではそのニュアンスはほとんどなくなっている。
『人間以外の生物に地球を乗っ取られる』というジャンルの始まりとなったこの作品。その分野では最高傑作と言えるだろう。
おわり
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20個多すぎた