日本のドラマは何故つまらないのか考えてみた
「日本のドラマがつまらない」これは、もう何年も前から言われている。2012年の朝日新聞に掲載された記事によると、国民の75%が「日本のテレビ番組はつまらない」と答えているらしい。この記事では「ドラマ」ではなくて「テレビ番組」であるが、ドラマも一応テレビ番組なのでこれに含まれるだろう。
そこで今回は日本のテレビドラマが何故つまらないのかを考えてみた。まあ巷で散々語られているが、今日は自分なりに考えてみた。
金がないから
ネットでドラマがつまらない理由を検索してみると、よく上がるのが「制作費がないから」という理由だ。
だが僕は個人的に、これは違うと思う。
例えばB級と言われる低予算で作られた映画の中にも面白い作品は沢山ある。それに、80年代の金があったバブル時期に、日本で面白いドラマや映画が作れていたかというとそんなことはない。中には昔のドラマは面白かったという人もいるが、それは勘違いで、今観ても大して変わらない。寧ろ役者の演技力なんかは今の方が上がったいると思う。
ということは、やはり金の有無は重要ではあるが、必要ではないということ。
規制があるから
では考えられる理由としてもう一つよく言われる「規制がひどいから」というもの。
日本のドラマでは、少しのことで苦情が入るらしい。例えば、サスペンスで犯人が車に乗って逃走するシーンで、シートベルトをしていなかったら苦情がはいるなど。
確かに、日本のテレビは広告に頼ったビジネスモデルなので、視聴者から苦情が入ると強く出れない。緊迫感のあるシーンで犯人がシートベルトをしていると真面目に観ている視聴者も興ざめだ。
だが、ドラマを観ていても、つまらない原因の全てが規制のせいだとは思わない。もっと根本的な、脚本だとか、演出だとかのほうが大事であり、細かな描写が全てをつまらなくするわけではないだろう。ほとんどの人はドラマなんて片手間に見ていることが多いし、犯人がシートベルトをしていたからといって気づかないことも多いのではないか。
なので「規制があるからつまらない」と一部のクレーマーのせいにするのは違うだろう。
役者が顔で選ばれる
これもネットに出てきた意見だ。
例えば新人のアイドルや、イケメン俳優や女優を売り出すために、起用している例が沢山あるからだろう。
本来役者というのは演技力や、その役柄にあった顔、雰囲気で起用されるのに、事務所が売りたいという理由でゴリ押ししてドラマに出演させる現状になってしまっている。その結果、演技力がともなっていなかったり、画面を通して美男美女ばかりで不自然になってしまっている。これがドラマをつまらなくしている原因ではないかという意見だ。
確かにこれは一理ある。だが、世界にはそれでも面白いドラマや映画があるのは事実だ。これは映画だが、『桐島、部活やめるってよ』は、学校が舞台で、出演者は確かに美男美女だ。イケてない高校生役を演じるのが神木隆之介なので説得力はないのではないかと思うが、本人の演技力もあり、さらにリアリティのある、堅実な演出を積み重ねているおかげで、ちゃんとイケてない高校生に見えるし、映画自体も素晴らしい傑作となっている。
なので「役者が顔で選ばれる」からという理由は、一部の要素ではあるが、それが全てではない。
演出力がない
上にも通づるが、役者の演技力がないのではないかという話もよくする。僕の友達も映画が好きなのだが、邦画より洋画の方が好きだと言っていた。その理由の一つに、役者の演技力の問題を挙げていた。
だがこれは実は勘違いで、日本の役者だって十分に演技力はある。ただそれを活かす演出ができていないだけだ。特にドラマに至っては、役者にわざとコミカルな演技をさせる。どうも作り手は視聴者をバカにしていて、わかりやすいリアクションをとらないと視聴者はわからないと思っているふしがある。
一言で言えば、漫画っぽいのだ。
実写の作品というのは実在の人間を写しているので、リアリティが非常に重要になってくる。実際の人間がとる行動や、台詞を話さないと不自然になる。なのにそれが出来ていない。というより、やろうとしていない。
例えばその一つとして挙げられるのが、なんでも台詞で説明するということ。
部屋で忙しく作業をしている人物に「あぁ、忙しい…」と言わせるようなバカ丸出しの演出。こういう場合は忙しそうに作業をしていれば視聴者はわかる。
他にも、ある人物がある人物を見つけ、物陰からこっそり見ているシーンがあるとする。その時、「やっと見つけたぞ…」などと呟かせる始末。ただじっと見ているだけで伝わるのに、わざわざそんな台詞を入れるのだ。これが大問題。
脚本がダメダメ
結局考えられるのが脚本がダメだということ。
対してアメリカのドラマなんかは脚本のクオリティが非常に高い。なんでもいいから一度観てみるだけでもそのクオリティの違いに驚くだろう。
何故そうなるのかというと、アメリカドラマの脚本制作は複数人で取り掛かり、ギリギリまで練りに練って作っているからだ。日本のドラマの台本はもう完全に完成した状態で出演者に渡されるので、一つの小冊子のようになっているが、アメリカの場合は常に考えて変更されたりするので、台本の色はページによってバラバラだったりするらしい。このことからも、脚本に対する力の入れようの違いがわかる。
そして何よりも問題なのが、何か「良さげ」なことを言おうとすることだ。
ドラマも邦画もそうだが、ただのエンターテイメント作品に何か無理やりメッセージを込めようとしたり、視聴者の心地よくする為というより、とりあえず教育上問題ないような「良さげ」なことを言おうとするあまり、それが邪魔になっていたり、むしろ倫理上どうかと思うような結論に着地したりすることも多い。
この問題は、論理的思考力が足りないということだろうか。論理的思考力が足りないから、脚本を練ることができず、「良さげな事」を本気で「良い事」と思ってしまうのかもしれない。そして一部の視聴者はそれが不快に感じることだろう。
視聴率至上主義
上では脚本が悪いからダメだと書いた。確かにドラマの良し悪しは8割くらいが脚本で決まると言っても過言ではないだろう。しかし、視聴率が取れることと、脚本は関係がないという現実がある。
ここ最近のドラマは、視聴率上位がジャニーズ主演のドラマで固まっている。
要は視聴者のほとんどが、ドラマの内容より、出演者の好き嫌いを優先させるから、結果として脚本のプライオリティが低くなり、つまらないドラマばかりになるのだと考えられる(もしくは逆もありえる。つまらないドラマばかりだから、視聴者はせめて好きな人が出演しているドラマだけ観ている。だがどのみち、いいドラマを作るには苦情を寄せられることへの対策が必要になってくる)。
どちらにせよ、視聴率至上主義のテレビ局のビジネスモデルが原因だ。
これはIT革命が起きてから、徐々にネットが普及してきた段階で、ビジネスモデルを変えるべきだった。広告に頼りっきりのビジネスモデル自体がいいものを作るのに向いていないのだ。
視聴率を取りにいくというのは、目先の利益を追うということ、だが目先の利益を追うと、その時は良いが、後々になってしぼんでいく。この体制を変えるには、なんとか資金を獲得し、初めは苦情が来ても我慢して作り続けて、最終的に認められればいい。そうやって何度かいいドラマを作れば、世間からも認められて、広告を出したいと思う企業も出てくるだろう。そしてそのうち苦情も入らなくなるのではないか。
だがテレビ局は免許で守られているので、一般の企業と違いわざわざそんなことをせずともやっていける。だからいつまでたっても変わらない。現に未だにビジネスモデルを変える気もないし、新しいことを始める気概もない。つまり最終的な問題は、経営者が無能だからという結論に至らざるを得ない。
まとめ
これらの考えをまとめると
・奇を衒わず、堅実な脚本を書ける脚本家を育てる
・実写として真っ当な演出を行える監督が必要
・ビジネスモデルを変える。もしくは経営者を変える。
この三つができると日本のテレビドラマにも光が見えてくるのではないかと思う。
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まあでも正直期待してないけどね。もうテレビは終わりっしょ。
これからはhuluとかの映像配信サイトのドラマに期待しよう。現にhulu制作の『フジコ』とかヤバイらしいし。
モンスター寄りの人間ランキング BEST5
世の中には、人間離れした身体能力を持つ奴らがいる。
人間離れした走力。人間離れしたパワー。人間離れした跳躍力。人間離れしたスタミナ。それらを有している人物とは一体誰なのか。
ちなみに身体能力とは、スポーツにおける身体的特徴の総称である。競技上のテクニックに依存しない基礎体力のことを指す。
僕はスポーツが好きでわりとよく見るのだが、その僕が知っている、高い身体能力を持っているバケモノを集め、さらに独自でランキングをつけてみた。大きく主観が入っていることは否めないが、あくまで僕が知っている中でのランキングなので。
では、さっそくいってみよう……。
第5位 室伏広治
生年月日:1974年10月8日(41歳)
身長:187cm
体重:99kg
競技:ハンマー投げ(自己ベスト84m86・世界歴代3位)
・400キロを超える遠心力を受け止めるパワー
・フルスクワットmax250キロ
・背筋 389キロ
・100m 10秒代
・立ち幅跳び 3m60以上
・握力 120キロ以上
・ベンチプレス 180kg
・高校時代、未経験の槍投げの大会にふらっと現れ、結果国体2位
・1996年、東京ボブスレー・リュージュ連盟が行ったトライアウトに参加し、全種目満点で日本代表候補に選出されるも、ハンマー投げに集中したいという理由から断念
・大学時代、元高校アームレスリングチャンピオンと対決し、半ニヤけのまま勝利
・プロ野球の始球式で131km/hを出した(ブルペンでの投球練習では140を連発)
・『スポーツマンNo.1決定戦』という番組で、10kgの樽を上に投げて壁を超えさせて、その壁の高さを競う「ガンスロー」という競技で、8m25cmの高さの壁を超え、世界記録を樹立
・同番組の「ビーチフラッグス」という競技で、野球選手やアメフト選手など、その他様々な走り自慢の選手を抑えて余裕の一位(100M金メダリストのドノバン・ベイリーにも勝利している)
・同番組の「ショットガンタッチ」という競技で12m90という記録を出した
・体重100kgもあるくせに跳び箱18段飛べる
・その後、その手の番組には呼ばれなくなる(ソース:室伏選手 / 古田敦也ブログNEO)
第4位 ジョナ・ロムー
生年月日:1975年5月12日(40歳没)
身長:196cm
体重:119kg
競技:ラグビー(ポジション:ウィング)
・史上最年少19歳でニュージーランド代表(オールブラックス)に選出
・W杯で2度のトライ王を獲得し、通算最多記録の15トライをマーク
・100Mを10秒5で走る
第3位 ウサイン・ボルト
生年月日:1986年8月21日(29歳)
身長:196cm
体重:93kg
競技:陸上短距離(金メダル18個、銀メダル2個獲得)
自己ベスト
100m 9秒58(2009年・世界記録)
150m 14秒35(2009年・世界最高記録)
200m 19秒19(2009年・世界記録)
400m 45秒28(2007年)
第2位 カルヴィン・ジョンソン
生年月日:1985年9月29日(30歳)
身長:196cm
体重:107kg
競技:アメリカンフットボール(ポジション・ワイドレシーバー)
通算成績(2014年までの成績)
レシーブ:643回
獲得ヤード:10,405ヤード
TDレシーブ:74回
・40yd走4秒3
・100m走10秒2
・100kgのベンチプレス×22回
・垂直跳び(助走なし)110cm
・垂直跳び(助走あり)135cm
第1位 レブロン・ジェームズ
生年月日:1984年12月30日(31歳)
身長:203cm
体重:113kg
足のサイズ:35cm
競技:バスケットボール(ポジション:SF)
・垂直跳びが111cm(試合中に計測したものなので実際にはもっと飛べる)
・レブロンはダンクする時本気で跳んだことがない(ボードに頭をぶつけるから)
・試合中の最高速度が32km(南アフリカW杯の全選手の中で一番早い記録が32.15km。ちなみにサッカーコートはバスケコートの4倍の長さ)
・パスしたボールの速度が64km
・ダンクする時の手の速度が87km(プロボクサーのパンチの2倍)
・コートの端から端までの歩数が9歩(NBAの平均が13歩)
・シュートを打つ時の打点が標識と同じ高さ
・この身体能力とガタイで全てのポジションを高いレベルでこなせる器用さとセンスを持っている
・アメリカメディアが様々な競技のアスリートを四項目(強さ、スピード、持久力、機動力)をそれぞれ10点満点で採用したランキングを発表して、レブロンは四項目満点の一位に輝いた
以上独断と偏見によるランキングでした。
1位のレブロンは「人間寄りのゴリラ」と思っている人も多いが、彼は「ゴリラ寄りの人間」なのでランキングに入れても大丈夫だろう。
室伏とジョナ・ロムーはランキングを逆にしても良かったが、体格的に勝るジョナ・ロムーを上にするべきだと判断した。細かい運動の記録などはないが、おそらく体つきやパフォーマンスを見る限り、室伏と同等かそれ以上の力を持っているだろうと思う。
ボルトも細かい記録がないが、短距離においては世界中で誰一人として彼に触れることもできないほどの速さなので、そのことだけでもトップ争いに食い込んでもおかしくはないだろうということで3位にした。
カルヴィン・ジョンソンは100mや垂直跳びなどの記録ではレブロンより上だが、スタミナや持久力、さらに体の強さなどではレブロンに劣るので2位。
まあ結局全員バケモンだけどね。
お笑いの基本概念「緊張の緩和理論」を解説
お笑いの基本的な概念である「緊張の緩和理論」。よく聞く言葉ではあるが、一体どういう理論なのだろうか。
これは落語家の桂枝雀が唱えたもので、緊張の緩和が笑いを生むとする理論である。元々は落語の理論であったが、これは全ての笑いに共通する理論なので、この理論を知っておくと、コメディなどの物語をつくる際に役立ち、逆説的に、ホラーなどを創作する際にも役立つだろう。ただ、緊張の緩和と言われてもよくわからないので、ここで自分なりに解説してみようと思う。
笑いとは何か
大前提として、人は快感を得る時に、緊張から解き放たれて緩和する。その「緩和」の部分が笑いだ。そして笑いには段階があって、大きく分けて三段階に分かれている。
緊張の大緩和
一番根底には「緊張の大緩和」がある。これはいわば、”悟り” のようなもの。悟ったらもう「緊張」がない。緊張がないということは、笑いも生まれない。いや、常に笑いがある状態と言った方が適切だろう。永遠に続く緩和なのだ。
喜びの笑い
大緩和の上には「喜びの笑い」がある。これは、例えば大昔に狩りをしていた時、獲物を捕らえて「やったー!」というものだ。これも大きな笑いであり、喜びは長い笑いである。
笑い
そして一番上には、我々がいつも言っている「笑い」がある。これは時間的に言えば一番短い。その時だけの瞬間のものだ。
このように、ピラミッドになっている。世の中にある、映画や喜劇、漫画や小説、といったものも、全てが緊張の緩和で笑いが起こるのだ。
笑いの分類
笑いは段階があると説明したが、笑いはその他に種類もある。
1.知的な笑い『変』
2.情的な笑い『他人のちょっとした困り』
3.生理的な笑い『緊張の緩和』
4.社会的・道徳的な笑い『他人の忌み嫌うこと』
この四つに分けられる。一つ一つ説明していこう。
1.知的な笑い『変』
普通なことは『緩和』(安心)で、変なことは『緊張』である。頭で考えて「それはおかしいぞ。なんか変だぞ」という、この『変』が緊張だ。おかしなこと、ありえないことに人間は恐怖を感じるからだ。
じゃあ漫才のネタなどでは何故笑えるかというと、それはネタであるということ、つまり遊んでいるというのが大前提として客がわかっているからだ。大緩和が根底にあるから『変』さえ起こせば笑いになる。
それが例えばネタじゃなく、人が浮いているとか、本当におかしなことがあれば、人は驚いてしまって笑いにならない。緊張が勝ちすぎて緩和しないのだ。全てに言えることだが、緊張が勝ちすぎると「笑い事ではない」となってしまう。普通であることから少しズレると『変』になる。
そして、ズレるのとは逆の”合う”のも『変』だ。自然には合うものなど無い。ピッタリ合うのは不自然なことだから、何かが物理的にピッタリ合うと快感だし、物語でも別々に進んでいると思われたエピソードがピッタリ合うと快感だ。それが面白いと感じる。
2.情的な笑い『他人のちょっとした困り』
『困り』が緊張。困っていないのが緩和。だが自分が困ると笑えない。だから他人事でないといけない。しかしいくら他人事といえども、人間には共感能力があるから『ちょっとした困り』でなければならない。
よく言われる例だが、貧しそうな人が歩いていて転けても、かわいそうだから笑いにならない。でも、リッチでキザな男が格好つけて歩いていて転けると笑いになる。「奴ならいいだろう」という人間心理である。
3.生理的な笑い『緊張の緩和』
1も2も全ては生理的なものだから結局はこの3に当てはまるのだが、もっと根底の生理的な部分でいえば、例えば赤ちゃんに「いないいないばあ」をする。初めは笑わない。緊張が勝っているから。もちろん知らない人がしても笑わない。緊張が強すぎて泣く場合もあるだろう。だが段々慣れてきたり、信頼の置ける母親が「いないいないばあ」をすると笑う。
これは「ばあ」とした瞬間に緊張が発生するが、両者の間で信頼がある、つまり緩和が土台にあるから笑えるのだ。友人同士で変な顔をして笑わせるのも同じだ。ふざけているというのがわかったら面白いが、全く知らない人が急に目の前で変な顔をしてきても怖いだけである。
4.社会的・道徳的な笑い『他人の忌み嫌うこと』
これは単純で、要はタブーに触れるということ。有吉弘行などの毒舌芸人ど言われている人の笑いはこの系統だ。一人でいるときは発生しないが二人以上になると言ってはいけないことが発生して、それをいうと笑いになる。
言ってはいけないというのが緊張。それを言った後の相手のリアクションによっては緊張が緩和しない場合もあるが、相手が笑っていたり、冗談として通じていれば緩和されて笑いになる。
1〜3までは人類全てに共通する(もちろん知識などによって個人差はあるが基本的な部分は共通する)が、この4だけは国や文化、考え方が大きく変わってしまうと一切通用しないので、よく国によって笑いの種類が違うと言われるのはこの部分が原因だ。だから外国人を笑わせようと思ったら、1〜3のどれかで笑わせれば大丈夫だろう。
サゲ(オチ)の分類
落語にはサゲがある。すべらない話などの笑い話にもオチというものがある。そしてそのサゲ(オチ)にも種類があり、4つに分けられる。
1ドンデン(「合わせ」から「離れ」に)
2謎解き(「離れ」から「合わせ」に)
3へん(離れ)
4合わせ(合わせ)
そしてそのオチには領域区分というものがある。
「ホンマ領域」という部分が通常の話の筋で、つまり正常なので「緩和」である。対して「合わせ領域」「離れ領域」の部分が、上でも書いた通り、離れるのも合うのも異常なものであるから「緊張」である。
話が変な方向に転がっていく(離れ領域)と「なんじゃそれ」「そんなアホな」と不安になり、逆に話の辻褄が合う(合わせ領域)と「そういうことだったのか」と、安心する。
両方変なことではあるが、それが笑いとして成立するのはネタだからだったり、すべらない話のように笑える話であると明言しているからである。
1ドンデン(合わせー離れ)
ドンデンは、よく言うドンデン返しの「ドンデン」である。
これは、話の筋が一度合いそうになるが、結局最後は離れていく。というオチだ。
一度安心しそうになると「実はそうじゃないんだ」と話が思わぬ方向へいくようなもの。
これに分類された落語『時うどん』
2謎解き(離れー合わせ)
これは一度離れていきそうになるが、最後には合うオチだ。
オチに近づいていくにつれて疑問が起こり「何故こうなるんだ?」と不思議に思っていると「実はこうだったのか」と安心の『変』へ収束する。
これに分類された落語『皿屋敷』
3へん(離れ)
これは今までとは違い、膨らみも萎みもせずに突然『変』が訪れる。
これに分類された落語『池田の猪買い』
4合わせ(合わせ)
これも3と同じ、急に合わせるオチ。
これに分類される落語『死神』
YouTubeにあったので千原ジュニアver.
四つのサゲの総合関係
右の「ドンデン」と「へん」が「そんなアホな」というサゲで、左の「謎解き」「合わせ」が「なるほど」というサゲ。また、上の二つが「緊張と緩和」がはっきり区別されているが、下の二つは「緊張と緩和」が混ざっている。
全てのネタは図の座標上のどこかの一点をしめている。だがこの四つは完全に孤立しているわけではなく、互いに影響しあいサゲをこしらえている。
例えば、謎を解く手段に「合わせ」を使ったり、謎を解いた結果が「へん」になったり、というように。
このように、笑いというのものにもしっかりとした理論がある。わざわざネタを作るときにこの理論を意識しなければならないわけではないが、知っているのと知らないのとではずいぶんと差があるだろう。自分の作ったネタや作品が自分でおもしろくないと感じた場合などに、なぜ面白くないのかを考えるためこの理論は非常に役立つからだ。
これは人を笑わせる理論だが、これを応用すれば、怖がらせることもできる。だから漫画家を目指していたり小説家を目指している人も、この理論はしっかり勉強しておいた方がいいと、個人的には思う。
ここに書いてあることよりもっと詳しいことが知りたければ、以下の本を読んでください。
漫画家になるために揃えるべきアイテム一覧
僕自身も昔は漫画家を目指していました。
色々なアイテムを揃えて漫画を描いたが、その時に得た知識から、今から漫画家を目指す人たちへ揃えるべき道具をお教えしたいと思います。
Gペン
漫画と言えばコレ。Gペンである。
漫画というのは白黒で表現する為、線の箇所によって太いところや細いところなどの強弱をつけることで、臨場感を出すのだ。
初めはメーカーなど何でもいいが、とりあえず有名どころで、ゼブラのGペンにするといいだろう。
人によっては、Gペンを使わない場合もある。例えば『無限の住人』の作者である沙村広明は、ピグマのミリペンを使って描いているらしい。
だが沙村広明は画力が高いのでそれでも成立するが、初心者のうちはGペンを使ったほうが描きやすくていいと思う。
丸ペン
主に背景や、人物の髪の毛を描くのに使われる。
ペン先というのは使うとすぐにダメになるので、初めのうちはセットの物を買ったほうがいいだろう。
他にも、強弱をつけない均一な線を描くためのカブラペンなどがある。
ちなみに『幽遊白書』や『ハンターハンター』の冨樫義博はカブラペン(たまペン)だけで描いているらしい。
ペン軸
ペン先をつけるペン軸。これがないとペン先があっても絵は描けない。
何を使ってもいいが、自分がこれを使っていたということと、このペン軸ならGペンも丸ペンも両方差せるようになっているので、これ一本買えばとりあえず漫画は描ける。なので金のない漫画家志望にはうってつけかと。
原稿用紙
ただの紙だが、これにも色々な種類がある。だが、サイズさえ合っていれば実は何を使っても良い。
しかし初心者の内は、印刷範囲の目印や枠線が印刷されている、漫画専用の原稿用紙の方がいいだろう。
プロになると出版社が用意してくれたりもするが、初めは専用の物を使っていれば間違いない。
インク
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インクといっても実は種類があって、大きく分けると「顔料インク」と「染料インク」がある。
顔料インク
・漫画用インク
・墨汁
・製図用インク
染料インク
・サインペン
・万年筆
このようになっている。
染料インクは色もあせるし、消しゴムをかけると色も落ちるので、インクを買うときは必ず顔料インクである漫画用のインクを購入しよう。
ホワイト
ホワイトとは、失敗箇所を修正したり、髪や瞳の光を表現したい時に使用する。
大きく分けて「ホワイトカラー系」「ポスターカラー系」「修正液系」に三つがある。
使い方は筆を水で濡らして絵の具のように使うのだが、加減が難しいので使う際にはあらかじめ練習が必要である。
スクリーントーン
薄いフィルムのようなもので、網目や集中線のような模様など、様々な種類のトーンがある。これを貼って、ペンだけでは表現できないような影などを表現する。
トーンを使用したい箇所に合わせて、カッターで切り取って貼り付けるのだが、力加減が難しく、初心者のうちは原稿ごと切ってしまうことも多いので注意が必要である。
漫画セット
色々なアイテムを揃えるにはお金がかかるので、安く一気に揃えたいという人には、漫画家セットをおすすめする。
練習用にこれを買って、散々使い尽くしたら、本格的に描き始めてもいいかもしれない。
その他必要なもの・あると便利なもの
カッター スクリーントーンを切るときに使用。
鉛筆 下書きの際使用する。
定規 枠線や集中線、曲線など、様々な線を引くときに使用。
マスキングテープ 色をつけたくない場所を保護するのに使用する
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漫画家になるには相当な練習が必要です。デビューしてからも常に努力をしていないとすぐ淘汰されていく厳しい世界。それをわかっていても創作がしたい、そんな強い思いを持っている人が漫画家として成功することができるのでしょう。
絵は描けば描くほどある程度上手くなるが、ストーリーなどは自分の持っている知識やセンスが物を言います。なので普段から漫画やアニメ以外の情報やコンテンツにも触れている必要があります。
僕は漫画家を目指す人はみんな映画を観るべきだと思います。演出やセリフ回しなど、漫画を描く際の参考になります。最近の漫画は文章で全て説明してしまうものが多いですが、漫画は小説とは違って、せっかく視覚的な表現ができるのですから絵やコマの切り取り方で見せないと漫画である意味がないと思います。究極的には、文章なしで絵だけで表現できてこそです。それができる作家が優れた作家なのでしょう。映画はそのことを学ぶには非常に良いコンテンツです。みんな映画を観て学びましょう。そしてニュースなどをチェックして常に情報を仕入れましょう。上から目線でごめんなさい。
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子供には見せられない、暴力的なマジキチ漫画10選!
子供の頃から漫画を読んできたが、そのほとんどは少年漫画ではなく、青年漫画だった。
年上の従兄の家に行くと置いてある暴力的な漫画を読んで育ったわたくしが、独断と偏見で選ぶ『暴力漫画』10選。
シグルイ
江戸時代初頭、天下の法に反して駿河城内で挙行された真剣御前試合で対峙したのは、片腕の若武者と盲目の天才剣士だった!! 残酷無惨時代劇!!
アニメ化もされ、WOWOWスクランブル枠で放送された人気作品。
筋肉や体の筋などを強調して描かれているので、『刃牙』の板垣恵介の絵柄と似ているかもしれない。戦闘シーンの異常さも刃牙に通ずるものが……。
時代劇にエログロの要素を入れて、残虐的な描写も多く、マジキチキャラも登場する、完全に人を選ぶ漫画だろう。
しかしハマる人はどハマりするはず。
フリージア
殺人等の凶悪犯罪の被害者遺族が一定のルールに基づいて加害者に復讐する敵討ち法が成立した時代を舞台としたバイオレンスアクション。被害者遺族に依頼されたプロの執行代理人と、対象者およびそれを守る警護人達による殺戮合戦を軸に、平静ではいられなくなっていく執行代理人の歪んだ日常や、極限状態を生き延びる対象者達とその周辺の人々の葛藤などの人間ドラマが展開される。
出ました、フリージア。あらゆる漫画の中でトップに入るほど好きな漫画だ。
所謂ディストピア。舞台である日本はもうほとんど終わっている。誰もがこんな国には住みたくないと思うだろう。
見所は何と言っても、主人公の叶ヒロシ。出てくるキャラは全員イカれているが、彼はもうずば抜けてイカれている。「他者と共感できない」「自分の内側に閉じこもる」「一人でぺらぺらと喋っている」など、完璧な〝電波〟である。そんな主人公は、初めは気持ち悪いと思うが、段々可愛く見えてくるという不思議。
絵は上手いのだが、線が荒く雑な描き方なので、これも人を選ぶかもしれない。
ヒリヒリとざらつく独特のタッチで描かれるマジキチの世界を味わいたい人は是非。
女子攻兵
新東京都市。そこでは異常な兵器使った異常な戦争が行われていた。兵器の名は“女子攻兵”。女子高生型巨大ロボである。女子攻兵の登場は、今までの戦争の形を変えてしまった!主人公・タキガワ中尉率いる第13独立女子攻兵猟隊、通称“ハイエナ部隊”は制御不能となった女子攻兵を始末する殺し屋部隊。今回もいつもと変わらない簡単な任務のはずだった…しかし、彼らの前に現れたターゲットは想像を超える最悪の化け物だった!
フリージアと同じ作者が描いている漫画。絵柄はフリージアの頃よりもポップなのだが、ぶっ飛び具合で言うと、こちらの方がぶっ飛んでるかも。
おっさんが、見た目が女子高生の巨大ロボに乗って訳のわからない化け物と戦うのだが、もうその光景がぶっ飛びすぎててもはやギャグ。可愛い女子攻兵がぶっ殺される描写もヤバすぎて楽しい。
そして何よりぶっ飛んでいるのがその設定。
女子攻兵に長く乗っていると、精神汚染という現象に侵され、おっさん達の言動が段々女子高生みたいなっていく。これは斬新。狂気を感じる。
ミリオタの作者松本次郎が描くぶっ飛び戦争漫画。そのイカれた世界を味わうがいい。
ベアゲルター
狂気か? 復讐か? 3匹の獣(めす)が牙を剥き合う…おんなの修羅場! ドイツ、中国、そして日本へ! 中国の売春街で起きた謎の殺人…それはやがて、日本の某・広域暴力団内部での現金盗難事件と結びつき、とある辺境の孤島にて、予期せぬ火花となり炸裂する! ネオ時代劇『無限の住人』大団円の余韻に浸る間もなく、沙村広明が渾身で描く、背徳のエンタテインメント。
あの『無限の住人』の作者、沙村広明の描き出す、エロとバイオレンスの融合。
沙村氏の漫画はどこか「見てはいけない物を見ている」といったような背徳感がある。それがたまらない。この作品にも、R18になってもいいような描写もあり、沙村広明の一連の作品が好きな人は絶対に楽しめる。
圧倒的な画力から生み出されるアクションも素晴らしく臨場感たっぷりで、登場キャラの武器や衣装も格好良くて、厨二仕様となっている。
沙村広明の描く女の子がまた可愛いのなんの…。巷で流行りの萌え絵に見られる奇形児ではなく、写実的に描かれたリアルな女だ。男はそれに萌えるべし!
多分著者は貧乳が好きなのだろう。
殺し屋1
舞台は歌舞伎町の一画にある13階建てマンション。入居者の8割方が暴力団関係者で占められている別世界で、「ヤクザマンション」の異名を誇るホットスポット。
このカオスの箱庭にて己の誇大妄想に基づいて行動する「ジジィ」率いる歌舞伎町ハグレ者グループと、垣原率いる暴力団「安生組」の酸鼻きわまる攻防戦が繰り広げられていた。
やがてジジィの切り札イチと垣原は運命の邂逅を遂げるが・・・・・。
言わずと知れた有名漫画。この手のジャンルの中じゃトップレベルで面白いかも。
確かにグロシーンは多いし、変態描写だらけだが、ストーリー展開が半端なく高クオリティ。絵が上手くて丁寧で、非常に読みやすい。
この作品の特徴は、読んでいて「痛い」こと。読者に対して痛さがモロに伝わってくるような描写や、精神的な苦痛を余すことなく描いている。作者はそこには特にこだわっている。何故ならこの漫画はSM漫画だからだ。
究極のサディストである殺し屋イチと、究極のマゾヒストであるヤクザの垣原。この二人が戦うとどうなってしまうのか、という変態であり最高の漫画だ。主人公が人を殺して勃起している漫画を僕は初めて読んだ。
他の漫画は、グロが苦手だという人には進めないが、これはグロが苦手な人にもすすめたい。純粋にバトル漫画として面白いから。
ザ・ワールド・イズ・マイン
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン (1)巻 (ビームコミックス)
- 作者: 新井英樹
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2006/08/31
- メディア: コミック
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本能のままに暴力を振るい続ける、狂気じみた謎の男 モン。そのモンに憧れ、破壊行動に協力する爆弾魔 トシ。旅を続けながら二人は爆破テロを繰り返す。時を同じくして、巨大な熊のような謎の怪獣「ヒグマドン」が突如日本に出現、圧倒的な力で人々を殺戮していく…。多くのアーティストやトップ・クリエイターから絶賛を浴びる現代最大最凶のバイオレンス巨編が、大幅な加筆修正を加えた「真説」として新生!
僕の大のお気に入り作品。同時期に連載された『殺し屋1』とともにカルト的な人気を持つ異色の漫画である。
主人公のモンちゃんは法律や道徳や倫理など全く気にせずバンバンと人殺したり、強姦したり、盗んだりする。とにかく暴力的で不条理でキツイ描写が多い。
ただこの作品を語るには、すごく長文になるし色々な準備も必要なのでここでは多くは書かない。「暴力によって哲学する」そんな漫画。
シマウマ
俺は知らなかった……この世の中には奴隷や家畜……それ以下の世界がある事を……始まりは、一通のメールの着信だった。そこに添付されていたのは、原型の崩れた仲間の顔と抜き取られた一対のアバラ骨……。小遣い稼ぎの美人局でヤクザを引っ掛けてしまった事から、タツオの日常は転がるように暗闇へと堕ちていく! 〔シマウマ〕とは、いったい何者なのか!?
「男は殴って女は犯す」暴力に暴力、暴力だらけのこの漫画。
簡単に言うと、お仕事漫画。ただそのお仕事が特殊。回収屋という仕事なのだが、世間の常識じゃどうにもならない不良品(こころ)を回収して昇華させるというわけのわからん仕事。
拷問のアイデアで見せていく漫画だが、それは読者に絶望感を与える為だったり、興味を持ってもらう為の暴力で、エスカレートしすぎで現実感がなく、痛みはそこまで感じないかも。だが気の弱い人は読まないほうがいいかもね。
軍鶏
自分の両親を刺殺した優等生の少年・成嶋亮が少年院に入り、そこで出会った空手の達人・黒川健児に師事して「生き残るための空手」を身につけ出所してからは格闘界に入り、無軌道なバトルを繰り広げてゆく。
これも有名な作品だから知っている人も多いだろう。
格闘技漫画なのだが、普通の競技漫画にある、自己修養やスポーツマンシップなどの近代体育的な価値観ではなく、格闘の負の側面である暴力の手段としての要素や、日本社会の闇、人間心理の暗黒面を大きく取り上げているのが特徴。
絵柄や演出に関しても、他の漫画にあるような大げさな描写はなく、現実的な範囲内で展開していく。それ故に、より痛々しさや怖さみたいなものが増している。
格闘技に興味のある人なら一度は読んでおいた方がいいだろう。
ウシジマくん
丑嶋馨が経営する闇金融『カウカウファイナンス』は、10日5割の超暴利。物語は、そんな『カウカウファイナンス』に訪れる客と、その関係者の様々な人間模様、そして社会の闇を描いたものである。
これはもう紹介するまでもないだろうが、好きな作品なのでぶっこんだ。
初めてこの漫画を読んだときは本当に酷いと思った。何故わざわざこんな鬱になりそうな漫画を読まなければならないのかと。だが読んでいく内に癖になる。
もちろん暴力も描かれるが、暴力的な怖さよりも、お金や人間自体の怖さが際立つ。
絵があまり上手くないが、感情の読めないキャラの顔は逆に恐怖心を煽るかもしれない。
スマグラー
役者志望のフリーターの砧涼介は、流されるままの自堕落な生活の果てに借金を作らされ、裏社会の非合法な「運び屋」の仕事をせざるを得なくなった。砧は、上司のジョーや同僚にあたるジジイと共に、中国マフィアが抗争の果てに惨殺した暴力団の組長と護衛の死体を運ぶ仕事になんとか成功する。しかし砧の「運び屋」としての次の仕事は、依頼人が以前の依頼で死体を運んだ組長がかつて率いていた暴力団。仕事の内容は、実行犯である殺し屋「背骨」を彼らの元へ運ぶというものだった。
『闇金ウシジマくん』の作者である真鍋昌平が描いた一巻完結の漫画。映画化もされたから知っている人も多いかもしれない。同じく好きな作品なのでぶっこんだ。
真鍋昌平の描く漫画には、妙な生々しさがある。ウシジマくんでもそうだが、作者は綿密に取材を重ねて描くらしいので、社会の底辺の雰囲気が気持ち悪いほどリアル。
怖いもの見たさで読んでみる価値はある作品だ。
最後に
巷では、暴力的な描写を規制しようなどという動きも目立つが、創作というのは「間違っていることでしか示せないことを描けるから価値がある」のであって、それを規制するのは、創作という物の価値自体を下げることに他ならない。
それに暴力などの恐ろしい事は現実社会にも蔓延しているのに、それを無いものとして扱うのは寧ろ危険な思想である。
大人向けの作品でエロやグロを規制するのは、大人を子供扱いしているようなもので、子供扱いされた大人は、みんなバカになっていく。すると、「自分に合うものしか受け入れない」「自分の見たくないものは見ない」「自分の好きなものしか認めない」という幼児的な大人を育てることになってしまうし、現にそうなってきている。
だからどんな時代にだって、エログロという野蛮な物は、表現の世界においては必要なのだ。
「現実では見たくない、でも現実には厳然とある」そんなものを見せることが表現の価値でもあるのだ。
人気のある優しい漫画達
暴力的な漫画ばっかり読んで疲れた心を癒してもらいましょう。